費用補償の請求が認容された事例
刑訴法188条の2号,刑訴法188条の3号,刑訴法188条の6号
判旨
無罪の確定判決を受けた者が請求できる費用補償の額は、証人等の旅費、日当、宿泊料の支給基準を参酌し、かつ弁護人の報酬については事案の性質や弁護活動の状況等を考慮して算定される。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法188条の2に基づく費用補償において、弁護人の報酬や被告人・弁護人の日当等の「額」を決定するための判断枠組みおよび考慮要素が問われた。
規範
刑事訴訟法188条の6に基づき、無罪判決を受けた被告人への費用補償額を算定する基準は以下の通りである。1.被告人及び弁護人の旅費、日当、宿泊料は、刑事訴訟費用等に関する法律等の証人等への給付規則を基準とし、審理の所要時間等を勘案して定める。2.弁護人報酬は、事案の性質、内容、審理経過、開廷回数、弁護活動の状況、記録謄写等の経費を総合考慮し、国選弁護人報酬支給基準を参酌して算出する。なお、特段の事情がない限り、複数人分の弁護人費用を含めるに際して同法188条の6第2項の人数制限は適用されない。
重要事実
刑事被告事件において無罪の判決を受け、これが確定した請求人が、国に対して刑事訴訟法188条の2に基づき費用の補償を求めた事案。第一審、控訴審、上告審の各審級において要した旅費、日当、宿泊料、及び私選弁護人に対して支払った報酬の補償が争点となった。最高裁判所は、裁判所の事実取調の結果に基づき、各費目の具体的な算定基準を提示した。
あてはめ
本件では、被告人及び弁護人の日当等について、出頭時点の規則に基づき、証人の支給基準を参酌して算出した。弁護人報酬については、事件の性質や複雑性、各審級での開廷回数、記録の謄写に要した実費、及び実際の弁護活動の質と量を具体的に評価した。その結果、第一審60万円、控訴審50万円、上告審50万円という金額を、当時の国選弁護人報酬基準を参酌しつつ、事案の困難性を反映させた妥当な額として認定した。
結論
請求人に対し、各審級の旅費・日当・宿泊料および弁護人報酬の合計額として、金206万7435円を交付する。
実務上の射程
本決定は費用補償の具体的な算定実務を示したものである。答案上は、費用の「範囲」だけでなく「額」の妥当性が問われた際に、国選弁護人報酬基準をベースにしつつ、実際の弁護活動の負担や事案の難易度を相加的・相乗的に考慮すべきとする本決定の考慮要素を用いることが可能である。
事件番号: 昭和58(ひ)1 / 裁判年月日: 昭和58年11月7日 / 結論: その他
併合罪として起訴された事実上、甲事実につき第一審において、乙事実につき控訴審において、丙事実につき上告審において順次無罪の判決があり、上告審が丙事実の裁判に要した費用を補償する場合において、甲、乙各事実についての無罪判決の各確定後刑訴法一八八条の三第二項所定の期間が経過しているときは、右各事実の裁判に要した費用の補償を…
事件番号: 昭和53(ひ)1 / 裁判年月日: 昭和53年7月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】無罪判決が確定した被告人に対し、刑事訴訟法に基づき、裁判に要した費用の補償を認めた事案である。 第1 事案の概要:請求人は、猥せつ図画所持被告事件(最高裁昭和51年(あ)第783号)の被告人であったが、昭和52年12月22日に最高裁判所において無罪の判決を言い渡され、昭和53年1月4日に同判決が確…
事件番号: 昭和30(ひ)2 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: その他
最高裁判所大法廷において判決を言い渡した被告事件に関する上訴費用補償請求については、最高裁判所小法廷も刑訴第三七〇号第一項にいう「当該上訴裁判所であつた最高裁判所」にあたる。