刑事補償の請求が認容された事例
刑補法1条1項,刑補法4条1項2項,刑補法16条前
判旨
無罪判決を受けた者が、その事件に関して逮捕・勾留等による未決の拘禁を受けた場合には、刑事補償法に基づき、拘禁日数に応じた補償金が交付される。補償金額は、法に定められた範囲内で、拘禁の種類、期間、本人の受けた精神的苦痛や財産上の不利益等の諸事情を考慮して決定される。
問題の所在(論点)
無罪判決が確定した者に対し、刑事補償法1条1項に基づく補償が認められるための要件、および同法4条2項に基づく補償金額の算定基準。
規範
日本国憲法40条を根拠とする刑事補償法1条1項に基づき、刑事裁判で無罪判決を受けた者が未決の拘禁を受けていたときは、国に対して拘禁による補償を請求できる。裁判所は、同法4条2項所定の事情(拘禁の種類・長さ、本人の被った不利益、公務員の過失の有無等)を総合的に考慮し、法定の範囲内(本件当時は1日1,000円〜7,200円)で相当な補償額を決定する。
重要事実
請求人は、殺人の共謀共同正犯として起訴され、第一審で懲役12年の判決を受けた。控訴審では殺人幇助罪により懲役1年6月に処されたが、最高裁判所において、殺人罪・殺人幇助罪のいずれについても重大な事実誤認の疑いがあるとして破棄自判により無罪が言い渡された。請求人は、逮捕から保釈されるまでの合計2,152日間、身柄を拘禁されていた。請求人は、この2,152日について、1日7,200円の割合による刑事補償金の交付を求めた。
あてはめ
請求人が殺人被告事件において最終的に無罪判決を受け、その判決が確定したことは明らかであり、刑事補償法1条1項の要件を満たす。補償額の算定にあたっては、2,152日間という長期にわたる拘禁の実態や、それによって請求人が被った社会的・精神的不利益等の事情を考慮すべきである。本件の記録に現れた諸般の事情を総合考慮すると、1日あたり6,000円の割合による補償が相当であると判断される。
結論
請求人に対し、未決拘禁日数2,152日に1日6,000円を乗じた、合計1,291万2,000円の補償金を交付する。
実務上の射程
刑事補償法に基づく補償の実務上の決定プロセスを示すものである。答案上は、憲法40条の具体化としての刑事補償法の仕組みや、裁判官が裁量によって金額を決定する際の考慮要素を説明する際に参照される。特に、誤判による長期拘禁に対する救済という実質的公平の観点を裏付ける判例である。
事件番号: 昭和48(も)1 / 裁判年月日: 昭和48年12月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑事事件において無罪判決が確定した場合、刑事補償法1条1項に基づき、未決勾留の日数に応じた補償金を国は交付しなければならない。 第1 事案の概要:請求人は、公文書毀棄被告事件について起訴され、第一審および第二審で有罪判決を受けたが、最高裁判所にて原判決が破棄され、無罪判決が言い渡されて確定した。請…