判旨
無罪の裁判が確定した者は、刑事補償法に基づき、身柄拘束を受けた日数に応じた補償を国に請求できる。本件では、詐欺罪で起訴され後に無罪が確定した請求人に対し、未決抑留日数10日分について1日400円の割合による補償金の交付が認められた。
問題の所在(論点)
刑事補償法に基づき、無罪確定者が受けた10日間の未決抑留に対して、どの程度の補償が認められるべきか。
規範
日本国憲法第40条および刑事補償法第1条第1項に基づき、抑留または拘禁を受けた後に無罪の裁判を受けた者は、国に対してその拘束による補償を請求することができる。補償額の算定にあたっては、刑事補償法第4条の定める1日あたりの金額の範囲内において、拘束の期間、本人の受けた精神的・身体的苦痛等の諸事情を考慮して決定される。
重要事実
請求人は、詐欺罪の嫌疑により昭和26年3月21日に逮捕され、翌22日に勾留された。その後、同月30日に保釈釈放されるまで、計10日間の未決抑留を受けた。請求人は第一審および控訴審で有罪判決を受けたが、上告審において第一・二審判決が破棄され、昭和31年8月30日に無罪の判決を受け、同年9月11日に当該判決が確定した。
あてはめ
請求人が詐欺被告事件において無罪の判決を受け、それが確定したことは記録上明らかである。また、逮捕・勾留により計10日間の未決抑留を受けた事実も認められる。これらは刑事補償法所定の補償要件を充足する。補償額については、当時の刑事補償法第4条第1項および第2項の規定に照らし、抑留日数10日に対し、1日につき400円とするのが相当と判断される。
結論
請求人に対し、未決抑留10日分に相当する金4,000円の補償金を交付する。
実務上の射程
刑事補償の請求に関する実務上の基本的な流れ(無罪確定・拘束日数の確認・算定)を示す事案である。司法試験の答案上は、憲法40条の具体化として刑事補償法が存在することを前提に、無罪判決の確定と身体拘束の事実という形式的要件を指摘する際に参照される。
事件番号: 昭和32(も)2 / 裁判年月日: 昭和33年7月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法により無罪の判決を受けた者が、その判決の確定前に抑留又は拘禁を受けていたときは、刑事補償法に基づき、国に対してその補償を請求することができる。 第1 事案の概要:請求人は、昭和21年に住居侵入、強姦致死罪により起訴され、第一審及び控訴審で有罪判決を受けた。しかし、最高裁判所での上告審にお…