判旨
無罪判決が確定した者に対し、刑事補償法に基づき、逮捕・勾留による抑留および拘禁の日数に応じた補償金を交付すべきである。諸般の事情を勘案し、1日当たりの金額を算定して補償額を決定する。
問題の所在(論点)
無罪判決が確定した者について、刑事補償法1条1項の要件を満たすか、および補償額を算定する際の判断枠組みが問題となる。
規範
刑事補償法1条1項に基づき、刑事訴訟法による抑留または拘禁を受けた者が無罪の裁判を受けたときは、国に対してその補償を請求できる。補償額の算定にあたっては、同法4条に基づき拘束の種類や期間、精神的苦痛などの諸般の事情を勘案して決定する。
重要事実
請求人は、昭和29年5月20日に銃砲刀剣類等所持取締令違反の現行犯として逮捕され、勾留を経て起訴された。その後、保釈許可決定により釈放されるまでの間、計16日間にわたり抑留および拘禁を受けた。第一審・控訴審では有罪判決を受けたものの、上告審において昭和32年に無罪判決が言い渡され、同判決が確定したため、刑事補償を請求した。
あてはめ
請求人が計16日間の抑留・拘禁を受けた事実は、刑事補償法1条1項に該当する。また、同法3条(補償をしないことができる場合)や5条2項(補償請求を却下すべき場合)に該当する事由は記録上認められない。同法4条に規定される「諸般の事情」を考慮した結果、拘禁日数16日に対し、1日300円の割合で補償を行うのが相当と判断される。
結論
請求人に対し、刑事補償金4,800円(1日300円×16日)を交付する。
実務上の射程
本決定は、刑事補償の要件該当性と金額算定のプロセスを簡潔に示すものである。答案上では、刑事訴訟における身体拘束の救済手段として刑事補償法1条1項の条文を適用し、具体的な拘束日数と「諸般の事情」を基礎に補償額を導く際の手本となる。
事件番号: 昭和43(も)1 / 裁判年月日: 昭和43年12月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】強盗殺人被告事件において無罪判決が確定した場合、未決の抑留・拘禁による身体の自由の制限に対し、刑事補償法に基づき日数を単位とした補償金を交付すべきである。 第1 事案の概要:請求人ら4名は強盗殺人被告事件につき起訴され、第一審・控訴審での有罪判決、最高裁による二度の破棄差戻しを経て、最終的に昭和4…