判旨
刑事訴訟法により無罪の判決を受けた者が、その判決の確定前に抑留又は拘禁を受けていたときは、刑事補償法に基づき、国に対してその補償を請求することができる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法の規定に基づき最高裁判所で原判決を破棄し無罪の判決を受けた者が、刑事補償法1条1項の要件を満たし、未決の抑留拘禁に対する補償を請求できるか。
規範
刑事補償法1条1項に基づき、刑事訴訟法による通常の請求又は再審若しくは非常上告の請求の手続において無罪の判決を受けた者が、未決の抑留又は拘禁を受けたときは、その日数に応じて補償を請求できる。補償額については、同法4条に基づき、1日あたりの一定額(本件当時は1日400円)を乗じた金額とする。
重要事実
請求人は、昭和21年に住居侵入、強姦致死罪により起訴され、第一審及び控訴審で有罪判決を受けた。しかし、最高裁判所での上告審において、旧刑事訴訟法施行法3条の2及び現行刑事訴訟法411条3号に基づき原判決が破棄され、無罪判決が言い渡され確定した。請求人は、この事件の過程で昭和21年7月6日から同年12月10日(保釈)、及び同年12月13日(保釈取消)から昭和22年8月9日(再保釈)までの合計398日間、抑留・拘禁されていた。
あてはめ
請求人が受けた無罪判決は確定しており、刑事補償法1条1項の「無罪の判決を受けた」場合に該当する。また、本件における抑留拘禁は、同法3条(補償をしないことができる場合)や5条2項(本人の責めに帰すべき事由等)の除外事由に当たらない。したがって、判明している抑留拘禁日数398日に対し、当時の法定額に基づき1日400円の割合で補償金を算定すべきである。
結論
請求人に対し、刑事補償法に基づき金15万9200円の補償金を交付する。
実務上の射程
本決定は、上告審で原判決破棄の上で自判された無罪判決についても、刑事補償の対象となることを当然の前提として示したものである。実務上は、刑事補償法1条1項の「無罪」に、実体的な無罪だけでなく、手続的な不備等による破棄無罪も含まれることを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和33(も)1 / 裁判年月日: 昭和33年2月10日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】無罪判決が確定した者に対し、刑事補償法に基づき、逮捕・勾留による抑留および拘禁の日数に応じた補償金を交付すべきである。諸般の事情を勘案し、1日当たりの金額を算定して補償額を決定する。 第1 事案の概要:請求人は、昭和29年5月20日に銃砲刀剣類等所持取締令違反の現行犯として逮捕され、勾留を経て起訴…