刑事補償の請求が認容された事例
刑事補償法1条1項,刑事補償法4条1項,刑事補償法4条2項,刑事補償法16条前
判旨
刑事事件において無罪判決が確定した場合、刑事補償法1条1項に基づき、未決勾留の日数に応じた補償金を国は交付しなければならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟手続において無罪判決が確定した者が、起訴前後の身柄拘束(抑留・拘禁)を受けていた場合、刑事補償法上の補償請求が認められるか。
規範
刑事補償法1条1項は、刑事訴訟法による通常の、若しくは再審又は非常上告の手続において無罪の裁判を受けた者が、その裁判が確定する前に未決の抑留又は拘禁を受けたときは、その抑留又は拘禁の日数に応じて国に補償を請求できる旨を規定している。また、その補償金額は、同法4条に基づき、1日あたりの定められた金額の範囲内で決定される。
重要事実
請求人は、公文書毀棄被告事件について起訴され、第一審および第二審で有罪判決を受けたが、最高裁判所にて原判決が破棄され、無罪判決が言い渡されて確定した。請求人は、当該事件に関して逮捕および勾留を受け、保釈によって釈放されるまで合計11日間にわたり身柄を抑留・拘禁されていた。
あてはめ
本件請求人は、最高裁判所において無罪判決を受け、当該判決が確定しているため、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判を受けた」者に該当する。また、起訴前の逮捕から保釈による釈放まで、合計11日間にわたる身柄の抑留・拘禁があった事実が認められる。この拘禁日数は同法に基づく補償の対象となる。補償金額については、改正前の刑事補償法4条1項・2項の規定に基づき、1日あたり1,300円と評価するのが相当である。
結論
請求人の請求は刑事補償法1条1項の要件を満たすため、抑留・拘禁日数11日に対し、1日1,300円の割合による計14,300円の補償金を交付する。
実務上の射程
憲法40条を根拠とする刑事補償の具体的運用を示す事案である。答案上は、冤罪被害に対する公法上の救済として、無罪確定後の補償手続の要件(無罪判決の確定、未決拘禁の存在)を整理する際に参照する。
事件番号: 昭和32(も)1 / 裁判年月日: 昭和33年7月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】無罪の裁判が確定した者は、刑事補償法に基づき、身柄拘束を受けた日数に応じた補償を国に請求できる。本件では、詐欺罪で起訴され後に無罪が確定した請求人に対し、未決抑留日数10日分について1日400円の割合による補償金の交付が認められた。 第1 事案の概要:請求人は、詐欺罪の嫌疑により昭和26年3月21…