弁護人であつた者からの訴訟費用負担の裁判の執行免除の申立が代理権欠缺を理由に棄却された事例
刑訴法500条
判旨
訴訟費用の執行免除の申立てを弁護人が代理して行うには、被告人から当該申立てに関する具体的な委任を受けていることの証明を要し、証明がない場合は不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
元弁護人が被告人に代わって訴訟費用の執行免除を申し立てる際、被告人からの申立てに関する委任の証明が必要か、また証明がない場合の申立ての適否が問題となる。
規範
刑事訴訟法に基づく訴訟費用の執行免除の申立て(刑事訴訟法500条参照)を弁護人が代理して行うにあたっては、被告人本人からその申立てをすること自体の委任を受けていることを証明しなければならない。
重要事実
被告人Aほか8名に対する兇器準備集合等の被告事件において、元弁護人であった申立人が、被告人らに科された訴訟費用負担の裁判につき、その執行免除を求めて最高裁判所に申し立てた。しかし、申立人は被告人らから当該申立てを行うことについて個別の委任を受けていることを証明しなかった。
あてはめ
本件において、申立人は被告人らの元弁護人としての立場にあるが、訴訟費用の執行免除の申立ては、本案の刑事裁判の弁護活動とは別個の手続的行為である。申立人は、被告人らからこの特定の執行免除の申立てをする権限を付与されていることを客観的に証明する資料を提示していない。したがって、代理権の存在が確認できない以上、申立ての適法性を認めることはできない。
事件番号: 昭和28(せ)234 / 裁判年月日: 昭和28年10月6日 / 結論: 棄却
訴訟費用の負担を命ぜられた者たる被告人から特に申立についての委任をうけなかつた場合に、国選弁護人のなした執行免除の申立は不適法である。
結論
本件申立ては、申立ての委任を受けていることの証明がないため、不適法として棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法上の各種申立てにおいて、弁護人が当然に有する包括的代理権の範囲外とされる事項については、別途、個別具体的な委任の証明が必要であることを示唆している。実務上、判決確定後の手続等は本人による申立てが原則であり、代理人が行う場合には委任状の提出等が厳格に求められる。
事件番号: 昭和54(せ)65 / 裁判年月日: 昭和54年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用の執行免除の申立ては、刑事訴訟法500条2項所定の期間内になされる必要があり、かつ、弁護人が代理して申し立てる場合には、被告人からの申立ての委任を要する。 第1 事案の概要:偽造有価証券行使被告事件の被告人に対し、第一審および原審において訴訟費用負担の裁判がなされた。これに対し、弁護人であ…
事件番号: 昭和29(す)145 / 裁判年月日: 昭和29年5月25日 / 結論: 棄却
申立人主張のような事由(訴訟費用負担の執行免除の申立を刑務官吏によつて妨げられた旨の主張)は、前記訴訟費用の負担を命ずる裁判について検察官のした執行に関する処分を不当とすべき根拠にはならないから、本件申立は理由がないものとして棄却すべきである。
事件番号: 昭和25(せ)44 / 裁判年月日: 昭和25年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法に基づく訴訟費用の執行免除の申立てにおいて、申立人が貧困のため訴訟費用を完納することができないと認められない場合には、当該申立ては棄却される。 第1 事案の概要:窃盗被告事件につき、昭和25年9月26日に言い渡された訴訟費用負担の裁判に対し、申立人はその執行免除を申し立てた。しかし、裁判…
事件番号: 昭和50(あ)1699 / 裁判年月日: 昭和51年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人との信頼関係の破綻を理由とする国選弁護人の辞任申出に対し、その責任が被告人側にもあること等の諸般の事情を考慮して辞任を認めないことは、憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:国選弁護人が、被告人らとの信頼関係が破綻したことを理由に裁判所に対して辞任の申出を行った。これに対し、第一審裁…