弁護人であつた者からなされた訴訟費用執行免除の申立が、右申立をするについて被告人の委任を欠いたため不適法とされた事例
刑訴法30条,刑訴法41条,刑訴法500条
判旨
訴訟費用の執行免除の申立ては、刑事訴訟法500条2項所定の期間内になされる必要があり、かつ、弁護人が代理して申し立てる場合には、被告人からの申立ての委任を要する。
問題の所在(論点)
訴訟費用負担の裁判に対する執行免除の申立て(刑事訴訟法500条)の適法要件、特に申立期間の遵守および弁護人による代理申立ての可否(委任の要否)。
規範
1. 訴訟費用負担の裁判の執行免除の申立て(刑事訴訟法500条)は、同条2項により、裁判が確定した後20日以内にしなければならない。 2. 弁護人が被告人に代わって当該申立てを行う場合には、被告人からの有効な委任が必要であり、その証明がなされない場合は不適法となる。
重要事実
偽造有価証券行使被告事件の被告人に対し、第一審および原審において訴訟費用負担の裁判がなされた。これに対し、弁護人であった者が執行免除の申立てを行ったが、当該申立ては刑事訴訟法500条2項が定める20日の期間経過後になされたものであった。また、申立人(弁護人)が被告人から本件申立てに関する委任を受けていることを証明する資料も提出されていなかった。
あてはめ
本件申立ては、刑事訴訟法500条2項の定める「確定後20日以内」という期間を経過した後に提起されたものであり、同条の形式的要件を欠いている。また、弁護人による申立てについても、被告人からの具体的な委任に基づくものであることの証明がなく、申立権限を欠く不適法なものといえる。
事件番号: 昭和57(せ)35 / 裁判年月日: 昭和57年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用の執行免除の申立てを弁護人が代理して行うには、被告人から当該申立てに関する具体的な委任を受けていることの証明を要し、証明がない場合は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人Aほか8名に対する兇器準備集合等の被告事件において、元弁護人であった申立人が、被告人らに科された訴訟費用負担…
結論
本件申立ては期間徒過および委任関係の証明欠如により不適法であるため、棄却を免れない。
実務上の射程
訴訟費用執行免除の申立てが、上訴権の代理行使等とは異なり、独立した固有の申立期間(20日)の制限を受けること、および弁護人が当然に代理権を有するわけではなく個別的な委任を要することを確認した実務上の基準である。答案上は、手続的適法の論点として簡潔に触れるにとどめる。
事件番号: 昭和25(せ)44 / 裁判年月日: 昭和25年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法に基づく訴訟費用の執行免除の申立てにおいて、申立人が貧困のため訴訟費用を完納することができないと認められない場合には、当該申立ては棄却される。 第1 事案の概要:窃盗被告事件につき、昭和25年9月26日に言い渡された訴訟費用負担の裁判に対し、申立人はその執行免除を申し立てた。しかし、裁判…
事件番号: 昭和28(せ)234 / 裁判年月日: 昭和28年10月6日 / 結論: 棄却
訴訟費用の負担を命ぜられた者たる被告人から特に申立についての委任をうけなかつた場合に、国選弁護人のなした執行免除の申立は不適法である。
事件番号: 昭和54(す)113 / 裁判年月日: 昭和54年7月2日 / 結論: 棄却
訴訟費用執行免除申立権の回復請求は不適法である。
事件番号: 平成3(す)79 / 裁判年月日: 平成3年6月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用執行免除の申立権回復請求は、法令上の規定を欠き、上訴権回復規定の準用も認められないため不適法であり、期間経過後の免除申立て自体も不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、既に裁判が確定し、刑事訴訟法500条2項に定める「裁判が確定した後20日以内」という期間を経過した後に、訴訟費用執行免…