訴訟費用執行免除申立権の回復請求は不適法である。
訴訟費用執行免除申立権の回復請求の適否
刑訴法362条,刑訴法500条
判旨
訴訟費用執行免除の申立ては「上訴に準ずる申立て」には当たらないため、上訴権回復に関する刑事訴訟法362条以下の規定を準用して申立権を回復することは認められない。
問題の所在(論点)
訴訟費用執行免除の申立期間を徒過した場合に、刑事訴訟法362条以下の規定を準用して申立権の回復を請求することができるか。同申立てが「上訴に準ずる申立て」として回復制度の対象となるか。
規範
上訴権回復に関する規定(刑事訴訟法362条以下)の準用が認められるのは、上訴に準ずる申立ての場合に限られる。訴訟費用執行免除の申立て(同法500条)は、その性質上、上訴に準ずる申立てとはいえない。
重要事実
申立人は、裁判の確定後に訴訟費用執行免除の申立てを行ったが、当該申立ては同法500条1項に規定された「裁判の確定後20日以内」という申立期間を経過した後になされたものであった。そこで申立人は、上訴権回復の規定を準用し、当該申立権の回復を請求した。
あてはめ
事件番号: 昭和25(せ)44 / 裁判年月日: 昭和25年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法に基づく訴訟費用の執行免除の申立てにおいて、申立人が貧困のため訴訟費用を完納することができないと認められない場合には、当該申立ては棄却される。 第1 事案の概要:窃盗被告事件につき、昭和25年9月26日に言い渡された訴訟費用負担の裁判に対し、申立人はその執行免除を申し立てた。しかし、裁判…
刑事訴訟法において上訴権回復制度が設けられている趣旨は、被告人の権利保護の観点から上訴機会を保障することにある。しかし、訴訟費用執行免除の申立ては、確定した裁判の執行段階における救済手続であり、未確定の裁判を争う「上訴」またはこれに類する手続とは性質を異にする。したがって、法律に明文の規定がない以上、上訴権回復の規定を準用して期間徒過後の申立てを適法化することはできないと解される。本件申立ては期間経過後になされた不適法なものである。
結論
本件訴訟費用執行免除申立権の回復請求及び同申立てをいずれも棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における期間徒過の救済制度の厳格性を示す判例である。答案上は、上訴権回復規定の準用範囲が「上訴に準ずる申立て」に限定されることを論証する際の根拠として用いる。反対意見(団藤意見)は被告人保護の精神から広義の準用を認めるべきとするが、多数意見はあくまで形式的・限定的に解釈しており、実務上の射程は訴訟費用関連の申立て全般に及ぶ。
事件番号: 昭和36(す)239 / 裁判年月日: 昭和36年7月13日 / 結論: 棄却
訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行免除の申立期間経過後の申立権回復請求は不適法である。
事件番号: 昭和54(せ)65 / 裁判年月日: 昭和54年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用の執行免除の申立ては、刑事訴訟法500条2項所定の期間内になされる必要があり、かつ、弁護人が代理して申し立てる場合には、被告人からの申立ての委任を要する。 第1 事案の概要:偽造有価証券行使被告事件の被告人に対し、第一審および原審において訴訟費用負担の裁判がなされた。これに対し、弁護人であ…
事件番号: 平成3(す)79 / 裁判年月日: 平成3年6月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟費用執行免除の申立権回復請求は、法令上の規定を欠き、上訴権回復規定の準用も認められないため不適法であり、期間経過後の免除申立て自体も不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、既に裁判が確定し、刑事訴訟法500条2項に定める「裁判が確定した後20日以内」という期間を経過した後に、訴訟費用執行免…
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…