電報による上告棄却決定に対する異議申立の適否
刑訴法423条1項
判旨
電報は刑事訴訟法423条に規定される「申立書」には該当せず、電報による異議の申立ては不適法である。
問題の所在(論点)
電報による意思表示が、刑事訴訟法423条1項にいう「申立書」に該当し、適法な不服申立てとして認められるか。
規範
刑事訴訟法423条1項に基づく抗告(およびこれに準ずる異議の申立て)は、裁判所に「申立書」を差し出すことによって行う必要がある。ここでの「申立書」とは、法的な有効性を担保する書面を指し、電報による通知はこれに含まれない。
重要事実
申立人は、最高裁判所がした上告棄却の決定に対し、特別抗告をする旨の電報を送付した。裁判所は、これを決定に対する異議の申立てと解した上で、電報が申立書に該当するかを判断した。
あてはめ
刑事訴訟法423条は、不服申立ての方式として書面の提出を求めている。電報は内容を伝達する手段に過ぎず、作成者の署名押印等がなされた正式な「申立書」としての書面性を備えているとはいえない。したがって、電報の送付は法定の方式を欠くものと解される。
結論
事件番号: 平成6(す)204 / 裁判年月日: 平成6年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法423条1項に規定する異議申立書については、電報による提出は認められず、また法定の申立期間を経過した後にされた申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反等の事件につき、最高裁判所がした跳躍上告申立て棄却の決定に対し、不服として異議の申立てを行った。しかし、…
本件申立ては不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事手続における申立ての厳格な書面性を確認した事例である。電磁的手段や簡易的な伝達手段が法廷の「書面」要件を満たさないことを示す基準として、不適法な申立てを排除する際の根拠となる。
事件番号: 昭和46(あ)1001 / 裁判年月日: 昭和46年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が上告趣意書と題する書面を提出しても、そこに具体的な上告理由の記載がない場合には、上告の申立ては不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立て、期限内に「上告趣意書」という標題の書面を裁判所に提出した。しかし、その書面の中身には、適法な上告理由となる事項が一切記載されてい…
事件番号: 昭和37(す)149 / 裁判年月日: 昭和37年5月29日 / 結論: 棄却
上告棄却の決定に対する異議の申立は、書面でこれをしなければならないとされているのであつて、訴訟手続の明確を期する趣旨から見れば、電報はここにいう書面に該当しないものと解するのを相当とする。従つて電報による本件申立は法令上の方式に違反したものであるから不適法である。
事件番号: 昭和45(す)122 / 裁判年月日: 昭和45年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が上告を棄却した決定に対しては、刑訴法414条及び386条2項に基づき異議の申立てをすることは可能であるが、決定の訂正を求める申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所が、刑事訴訟法414条、386条1項3号に基づき、被告人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、被告…
事件番号: 昭和55(し)63 / 裁判年月日: 昭和55年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判の判決に対しては、刑法・刑事訴訟法上の不服申立てとして特別抗告をすることは認められず、また上告の意思が明確に否定されている場合には上告として扱うこともできないため、当該申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反、有印私文書偽造、同行使の罪に問われ、昭和55年5月30日…