上告棄却の決定に対する異議の申立は、書面でこれをしなければならないとされているのであつて、訴訟手続の明確を期する趣旨から見れば、電報はここにいう書面に該当しないものと解するのを相当とする。従つて電報による本件申立は法令上の方式に違反したものであるから不適法である。
上告棄却の決定に対する電報による異議申立の適否
刑訴法414条,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法423条1項
判旨
最高裁判所がなした上告棄却決定に対する不服申立ては、抗告ではなく異議の申立てによるべきであり、かつ、その申立ては書面によらなければならない。また、訴訟手続の明確性を期する観点から、電報による申立ては法定の「書面」に該当せず不適法である。
問題の所在(論点)
1. 最高裁判所による上告棄却決定に対し、抗告の申立てを行うことができるか。2. 仮に申立てを異議の申立てと解釈した場合、電報による申立ては「書面」による申立て(刑訴法414条等)として有効か。
規範
1. 刑訴法414条・386条3号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同法414条・386条2項に基づく「異議の申立て」のみが可能であり、「抗告」をなすことはできない。2. 上記異議の申立ては、刑訴法414条・386条2項・385条2項・423条1項に基づき「書面」でしなければならない。3. 訴訟手続の明確を期する趣旨に鑑み、電報は上記「書面」には該当しない。
重要事実
被告人に対する被告事件に関し、昭和37年4月24日に最高裁判所が上告棄却の決定を下した。これに対し、申立人は同年4月30日、電報によって「抗告」の申立てを行った。
事件番号: 昭和35(す)7 / 裁判年月日: 昭和35年2月9日 / 結論: 棄却
本件のような上告棄却の決定に対する意義を棄却した決定に対し更に異議の申立を認むべき規定は存しないので、本件申立は不適法なものとして棄却を免れない。
あてはめ
1. 申立人は「抗告」を申し立てているが、最高裁判所の上告棄却決定に対する不服申立方法は、法414条・386条2項により異議の申立てに限定されている。2. 本件申立てを仮に異議の申立てと解釈しても、法は異議の申立てを書面で行うべき旨を規定している。訴訟手続の明確性を確保するという制度趣旨から判断すれば、内容の正確性や作成者の真正性の確認に難がある電報は、法定の「書面」に該当すると解することはできない。したがって、電報による申立ては法令上の方式に違反すると評価される。
結論
本件申立ては不適法であり、棄却される。最高裁判所の決定に対し抗告は許されず、また電報による異議申立ては書面による方式を欠くため認められない。
実務上の射程
刑事訴訟手続における方式の厳格性を説く。特に、ファクシミリ(FAX)や電子メール等による申立ての有効性が議論される際、本判例の「訴訟手続の明確を期する趣旨」という判断要素が引用される。現在、一定の書面については電磁的方法が認められつつあるが、明文の規定がない限り、本判例の論理により電報等の代替手段は否定される可能性が高い。
事件番号: 昭和57(す)156 / 裁判年月日: 昭和57年8月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】電報は刑事訴訟法423条に規定される「申立書」には該当せず、電報による異議の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がした上告棄却の決定に対し、特別抗告をする旨の電報を送付した。裁判所は、これを決定に対する異議の申立てと解した上で、電報が申立書に該当するかを判断した。 第2 …
事件番号: 昭和42(す)197 / 裁判年月日: 昭和42年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がなした上告棄却の決定に対しては、法律上抗告の申し立てをすることは許されず、また異議の申し立てと解する場合であっても法定の期間経過後になされたものは不適法である。 第1 事案の概要:被告人は、公職選挙法違反被告事件における最高裁判所の上告棄却決定(昭和42年5月25日付)に対し、特別抗告…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和50(し)38 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、対象となる決定等に対して他に不服申立ての手段がない場合に限り許容される。高等裁判所への通常抗告が可能な決定に対し、これを経ずに直接最高裁判所へ抗告することは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(詳細は判決文からは不明)に対し、刑事訴…