一 民事判決に対する判例違反の主張が欠前提とされた事例 二 公訴提起が憲法一四条一項に違反するとの主張が欠前提とされた事例
憲法14条1項
判旨
検察官による公訴提起の裁量権行使が、直ちに不平等な取扱いとして憲法14条1項に違反し、または公訴提起を無効ならしめるのは、捜査や起訴に偏頗・不公正な点が認められる場合に限られる。
問題の所在(論点)
特定の者のみを起訴し、対立する立場にある他者を起訴しない検察官の裁量権行使が、憲法14条1項の法の下の平等に反し、公訴棄却の事由(刑事訴訟法338条4号等)となるか。
規範
公訴提起の適法性については、検察官の裁量権(刑事訴訟法248条)が尊重されるべきである。もっとも、特定の対象に対する公訴提起が、他の対象に対する不処置と対比して直ちに不平等な取扱いとなり、憲法14条1項に違反して無効となるのは、当該捜査・公訴提起に、公訴提起を違法・無効ならしめるような偏頗または不公正な点が認められる場合に限られる。
重要事実
被告人らは、株主総会における紛争に関連して起訴されたが、会社側やいわゆる「与党総会屋」側が処置(起訴)されていないことと対比し、被告人らに対する公訴提起は不平等であり、憲法14条1項に違反して無効であると主張して上告した。
あてはめ
本件記録によれば、本件捜査において、公訴提起を違法・無効ならしめるような偏頗・不公正な点は認められない。また、被告人らに対する公訴提起を、会社側や与党総会屋側に対する不処置と対比しても、直ちに不平等な取扱いをしたものとは認められない。したがって、検察官の裁量権行使に逸脱・濫用があるとはいえない。
結論
本件公訴提起は憲法14条1項に違反せず、有効である。上告棄却。
実務上の射程
公訴権濫用論(憲法違反)の主張が認められるためのハードルは極めて高く、単に「他方が起訴されていない」という事実だけでは足りず、捜査・起訴過程に特段の偏頗・不公正(恣意的な差別選別など)があることを要するという枠組みを提示している。
事件番号: 昭和47(あ)1184 / 裁判年月日: 昭和48年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件上告は、引用された判例が事案を異にして適切ではなく、その他は単なる法令違反の主張にすぎないため、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却された。 第1 事案の概要:上告人は、原判決が判例に違反するとして上告を申し立てた。しかし、上告人が主張の中で引用した判例は、本件と事案を異にするもので…
事件番号: 昭和43(あ)1684 / 裁判年月日: 昭和45年7月21日 / 結論: 棄却
公共企業体等労働関係法一七条一項に違反してなされた争議行為についても、労働組合法一条二項の適用がある。
事件番号: 昭和44(あ)1105 / 裁判年月日: 昭和47年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法234条の「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力をいうと解すべきであり、憲法31条の適正手続に反して不明確であるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人ら4名は、吹田操車場構内において、集団示威行動等を行った。この行動が威力業務妨害罪(刑法234条)に該当するとして起訴されたところ、弁護…