証拠調の方法に関する決定(公判期日外の証拠調)に対する特別抗告の適否
刑訴法433条1項
判旨
証拠調べの方法に関する決定に対する異議申立てを棄却する決定などの訴訟手続に関して判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠調べの方法に関する決定に対する異議申立棄却決定のような、判決前にされた訴訟手続に関する決定が、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当し、特別抗告の対象となるか。
規範
刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、同法405条の跳躍上告の対象とならない決定のうち、通常の抗告(419条、420条)等の不服申立手段が一切認められていない終局的な決定を指す。したがって、訴訟手続に関して判決前にされた決定のように、後に控訴等を通じてその適否を争いうるものは、同条項にいう不服申立てができない決定には該当しない。
重要事実
本件は、裁判所が行った証拠調べの方法に関する決定に対し、当事者が異議を申し立てたところ、これを棄却する決定(異議申立棄却決定)がなされた事案である。この決定は、判決前に行われた訴訟手続に関する決定であり、これに対して特別抗告(刑訴法433条1項)が申し立てられた。
あてはめ
本件の異議申立棄却決定は、証拠調べという訴訟手続に関して判決前にされた決定である。このような決定は、刑事訴訟法420条1項により原則として独立した抗告が制限されているものの、後の終局判決に対する控訴等の中でその適否を争う余地が残されている。したがって、手続全体としてみた場合に「不服を申し立てることができない」状態にあるとはいえず、刑訴法433条1項の対象から除外されると解される。
事件番号: 昭和57(し)58 / 裁判年月日: 昭和57年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立棄却決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が、証拠決定(証拠の採否等)に対してなされた異議申立てを棄却した決定に対し、不服を申し立てるべく刑…
結論
本件各抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
訴訟手続中の各決定に対して逐一特別抗告を認めると、訴訟の著しい遅延を招く。本判決は、中間的な決定については終局判決に対する上訴の中で是正を求めるべきであるという刑事訴訟法の基本構造を特別抗告との関係で再確認したものである。答案上は、特別抗告の客体性の有無を判断する際の基準として用いる。
事件番号: 昭和38(し)48 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定に対する異議申立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:京都地方裁判所は、暴力行為等処罰法違反被告事件…
事件番号: 昭和35(し)3 / 裁判年月日: 昭和35年2月23日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求がなされた録音テープ一巻は、いわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の弁護人の意義申立を棄却し、これを取り調べる旨の決定は、公訴手続に関し判決前にした決定であつて、刑訴第四三三条第一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…
事件番号: 昭和26(し)103 / 裁判年月日: 昭和27年12月27日 / 結論: 棄却
旧刑訴第三四四条第二項に基く証人尋問の決定は、刑訴応急措置法第一八条第一項にいわゆる「不服を申し立てることができない決定」にあたらない。