旧刑訴第三四四条第二項に基く証人尋問の決定は、刑訴応急措置法第一八条第一項にいわゆる「不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
旧刑訴第三四四条第二項に基く証人尋問の決定と刑訴応急措置法第一八条第一項にいわゆる「不服を申し立てることができない決定」
旧刑訴法344条,旧刑訴法457条,刑訴応急措置法18条
判旨
訴訟手続に関し判決前にされた証拠決定は、本案判決に対する上訴において、その決定に基づき取り調べられた証拠の採用が判決に影響を及ぼしたとして不服申し立てをなし得るため、刑訴応急措置法18条1項にいう「不服を申し立てることができない決定」には該当しない。
問題の所在(論点)
判決前になされた証拠決定が、刑訴応急措置法18条1項(現在の刑事訴訟法433条1項に相当)にいう「刑事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定」に該当し、特別抗告の対象となるか。また、本案判決に対する上訴を通じた不服申し立ての可否が、特別抗告の許容性にどう影響するか。
規範
「訴訟手続に関し判決前にした決定」であっても、その決定に違法があり、かつ当該決定に基づき取り調べた証拠を判決に採用したことが判決に影響を及ぼしたといえる場合には、本案被告事件の判決に対する上訴において不服を申し立てることが可能である。したがって、このような決定は、独立した抗告が禁止されていても、最終的に不服申し立ての手段が残されている以上、特別抗告の対象となる「不服を申し立てることができない決定」には当たらない。
重要事実
本件は、刑事裁判の過程で行われた証人尋問等の証拠決定に対し、被告人側が不服を抱き、刑訴応急措置法18条1項に基づき最高裁判所へ特別抗告を申し立てた事案である。当時の法制下において、判決前になされた証拠決定は、独立して抗告することが原則として禁止されていた。
事件番号: 昭和57(し)58 / 裁判年月日: 昭和57年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立棄却決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が、証拠決定(証拠の採否等)に対してなされた異議申立てを棄却した決定に対し、不服を申し立てるべく刑…
あてはめ
本件の証拠決定は、訴訟手続に関し判決前に為された決定である。旧刑訴457条により独立の抗告は許されないが、仮に当該決定に違法があり、その証拠を判決に採用したことで判決に影響を及ぼした場合には、本案判決に対する上訴においてその違法を主張することが可能である。このように、上訴による救済の道が開かれている以上、当該決定は最終的に「不服を申し立てることができない」状態にあるとはいえない。
結論
本件証拠決定に対する特別抗告は、刑訴応急措置法18条1項の要件を満たさず不適法である。したがって、本件特別抗告を棄却する。
実務上の射程
現行刑訴法433条の特別抗告においても、判決前の決定(証拠決定等)については、本案判決に対する控訴等によってその当否を争える場合には特別抗告が許されないという、実務上の「独立抗告禁止の原則」と「特別抗告の補充性」を基礎づける判例として活用できる。
事件番号: 昭和54(し)131 / 裁判年月日: 昭和54年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べの方法に関する決定に対する異議申立てを棄却する決定などの訴訟手続に関して判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、裁判所が行った証拠調べの方法に関する決定に対し、当事者が異議を申し立てた…
事件番号: 昭和63(し)53 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べに関する異議申立てを棄却した決定に対し、不服申立てを行うことは認められない。裁判所の証拠調べに関する裁量的判断を尊重し、訴訟手続の遅延を防止する観点から、抗告は不適法とされる。 第1 事案の概要:福岡地方裁判所において行われた証拠調べに関し、当事者が異議を申し立てたが、同裁判所はその異議を…
事件番号: 昭和38(し)48 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定に対する異議申立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:京都地方裁判所は、暴力行為等処罰法違反被告事件…
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…