処断刑超過による非常上告(幇助犯についての必要的減軽を看過)
刑訴法458条1号
判旨
酒酔い運転の幇助犯に対し罰金刑を科す場合、刑法68条4号に基づき法定刑の多額を2分の1に減軽した範囲内で処断しなければならない。この制限を超えた罰金刑を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益な裁判として破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
法律上の減軽を要する従犯(刑法63条)に対し、減軽後の処断刑の上限(刑法68条4号)を超過する罰金刑を科した場合の適法性、および非常上告における救済の可否。
規範
従犯(幇助犯)の刑は、正犯の刑を減軽する(刑法62条1項、63条)。罰金を減軽する場合においては、その多額の2分の1を減ずるものとされている(刑法68条4号)。裁判所は、これら法律上の減軽規定を適用した後の処断刑の範囲内で刑を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は、運転者が酒に酔った状態で普通乗用自動車を運転する際、助手席に同乗して道案内を行い、酒酔い運転を幇助した。当時の道路交通法における酒酔い運転罪の罰金刑の法定刑は「5万円以下」であった。これに対し、第一審の略式命令は、被告人を従犯として処断する際、法律上の減軽(刑法68条4号)を行わずに、法定刑の範囲内ではあるが減軽後の上限を超える「罰金3万円」を科した。この略式命令はそのまま確定した。
あてはめ
本件において正犯に適用される法定刑の多額は罰金5万円である。被告人は幇助犯であるため、刑法63条および同法68条4号の適用により、罰金の多額を2分の1に減じた「2万5000円以下」が処断刑の上限となる。しかし、原略式命令はこれを超過する「罰金3万円」に処しており、適用すべき罰則の限度を誤った法令違反がある。これは被告人にとって不利益な裁判であるといえる。
結論
原略式命令は法令に違反し、被告人に不利益であるため、これを破棄する。改めて被告人を処断刑の範囲内である罰金2万5000円に処する。
実務上の射程
従犯の刑罰の算定において、法律上の減軽(刑法68条4号)を忘却して正犯の法定刑の範囲内で処断してしまうという、裁判上の誤りを是正する非常上告の典型例である。答案上は、罪数や刑の加減減軽の順序を検討する際、処断刑の算定プロセスを誤らないための注意喚起として参照される。
事件番号: 昭和54(さ)7 / 裁判年月日: 昭和54年11月2日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の上限を超える罰金を科した略式命令は法令に違反し、被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は酒気帯び状態で軽四輪乗用自動車を運転したとして、道路交通法違反により罰金4万円の略式命令を受け、これが確定した。しかし、当時の道路交通法119条1項7…