罰金の処断刑を超過してなされた略式命令に対する非常上告が認容された事例
刑訴法458条
判旨
従犯減軽が適用されるべき事案において、その法律上の減軽による処断刑の最高額を超過した罰金額を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益なものとして破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
確定した略式命令において、従犯減軽を適用した後の処断刑の上限を超える罰金刑を科したことが、非常上告の理由となる「法令に違反した」もの(刑事訴訟法458条1号)に該当するか。
規範
道路交通法違反の幇助犯(刑法62条1項)に対して罰金刑を選択する場合、刑法63条および68条4号に基づく法律上の減軽を行わなければならない。この場合、処断刑の最高額は当該罰金の多額の2分の1となる。この上限を超える刑を科すことは、法令の適用を誤った違法な裁判にあたる。
重要事実
被告人は、Aが無免許であることを知りながら大型貨物自動車を貸与して運転を容易にさせ、無免許運転を幇助した。これに対し簡易裁判所は、道路交通法64条、118条1項1号、刑法62条、63条等を適用し、罰金3万円を科す略式命令を発し、これが確定した。しかし、当時の同法所定の罰金額および従犯減軽を考慮した処断刑の最高額は2万5000円であった。
あてはめ
本件において適用されるべき道路交通法および刑法の規定に照らせば、従犯減軽(刑法63条、68条4号)を施した後の処断刑の最高額は2万5000円である。それにもかかわらず、原略式命令は被告人に対して罰金3万円を科しており、客観的に法令の定めに反する刑の量定を行っている。これは明らかな法令違反であり、かつ、上限を超えた金額を科されている点で被告人にとって不利益であるといえる。
結論
原略式命令は法令に違反し被告人に不利益であるため、これを破棄する。被告人を処断刑の範囲内である罰金2万5000円に処する。
実務上の射程
非常上告において、法令適用の誤り(特に処断刑の範囲の誤認)により法定刑・処断刑の上限を超えた刑を科した場合には、被告人に不利益な法令違反として破棄の対象となることを示す。答案上は、罪数や刑の加減例における計算ミスが直ちに「法令に違反した」裁判となる例として参照し得る。
事件番号: 昭和51(さ)7 / 裁判年月日: 昭和51年6月29日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】道路交通法違反の罪に対し、法定刑の最高額を超える罰金を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人に不利益であることが明らかであるため、非常上告の対象となる。 第1 事案の概要:被告人は酒気帯び状態で普通乗用自動車を運転したとして、道路交通法違反により略式起訴された。簡易裁判所は、罰金3万6,000…
事件番号: 平成15(さ)3 / 裁判年月日: 平成15年10月9日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】略式命令において、併合罪の処断刑の制限(刑法48条2項)を超えた罰金刑を科したことは、法令に違反し、かつ被告人のため不利益であるため、非常上告により破棄を免れない。 第1 事案の概要:被告人は、無免許運転、信号無視、及び免許証の不返納の3つの事実により略式命令を受けた。それぞれの法定刑(罰金)は、…