交通反則金既納付を看過してされた略式命令に対する非常上告が認容された事例
刑訴法458条1号
判旨
交通反則告知に基づく反則金の納付がなされた場合、同一の公訴事実について公訴を提起することはできず、これに反して発せられた略式命令は法令違反として公訴棄却の対象となる。
問題の所在(論点)
交通反則金の納付が完了している事実に対し、同一事実で公訴を提起し略式命令を発することの適法性、およびその場合の救済手続が問題となる。
規範
道路交通法128条2項により、反則金を納付した者は、当該納付に係る行為について公訴を提起されない。この規定に違反して公訴が提起された場合、裁判所は刑事訴訟法463条1項により通常手続へ移行させた上で、同法338条4号に基づき判決で公訴を棄却すべきである。
重要事実
被告人は道路交通法違反(通行禁止違反)の事実に基づき、1978年9月11日に交通反則通告書により反則金5000円の納付通告を受け、同月21日の期限内にこれを納付した。しかし、同年10月13日に同一事実について公訴が提起され、福岡簡易裁判所は同日、被告人を罰金5000円に処する旨の略式命令を発付し、同命令は確定した。
あてはめ
本件では、被告人は公訴提起前に既に反則金を完納している。道路交通法128条2項の規定により、反則金の納付があるときは公訴提起自体が法律上許されない。したがって、当該公訴提起に基づき有罪を認定した略式命令は法令に違反するものであり、かつ被告人にとって不利益な裁判であるといえる。
結論
本件略式命令を破棄し、刑事訴訟法338条4号により本件公訴を棄却する。
実務上の射程
反則金納付による公訴提起の禁止(二重処罰の防止・手続的保障)を明示した事案である。答案上は、公訴提起の有効性や訴訟条件の欠如を論ずる場面で、道交法上の特例措置の効果として引用すべき判例である。非常上告による救済の具体的運用例としても参照される。
事件番号: 昭和51(さ)1 / 裁判年月日: 昭和51年6月29日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】交通反則告知を受け、納付期限内に反則金を納付した事実がある場合、当該事実については道路交通法128条2項により公訴を提起することができず、これに反した公訴提起に対しては刑訴法338条4号に基づき公訴棄却の判決をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和47年4月9日、法定の最高速度を20キロメ…
事件番号: 昭和61(さ)2 / 裁判年月日: 昭和62年3月27日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】道路交通法違反の事実について反則金を納付したときは、同法128条2項により公訴を提起することができない。それにもかかわらず公訴提起がなされ、有罪の略式命令が確定した場合は、法令違反かつ被告人に不利益であるため、非常上告により破棄・公訴棄却とされる。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反(整備不…
事件番号: 平成14(さ)3 / 裁判年月日: 平成15年4月15日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】交通反則通告制度に基づき反則金を納付した者に対しては、当該納付の対象となった行為について公訴を提起することができず、これに反した公訴提起は刑事訴訟法338条4号により棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は道路交通法違反(駐車禁止場所での駐車)の事実について、少年時に家庭裁判所へ送致され…
事件番号: 平成1(さ)1 / 裁判年月日: 平成元年4月20日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】道路交通法違反の事実に基づき反則金を通告期限内に納付した場合には、道交法128条2項により公訴を提起することができず、これに反してなされた公訴提起は刑訴法338条4号により棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和63年1月14日、通行禁止道路を普通乗用自動車で通行した。同年2月24日…