憲法一四条、三七条二項、三項違反の主張を欠前提で処理した事例
憲法14条,憲法37条2項,憲法37条3項,刑訴法405条
判旨
保釈が許されないことにより証人審問権(憲法37条2項)の行使が事実上困難になったとしても、直ちに同条違反とはならず、自白の任意性が認められる限り憲法38条1項にも違反しない。
問題の所在(論点)
1. 保釈が許されない状態での裁判が憲法37条2項(証人審問権)に違反するか。 2. 争われた自白が憲法38条1項(自己負罪拒否特権・任意性原則)に違反するか。
規範
被告人が身柄を拘束されている(保釈が許されない)状態であっても、それが直ちに憲法37条2項の証人審問権を侵害するものとはいえない。また、自白の証拠能力については、記録上の諸状況に照らして任意にされたものと認められる限り、憲法38条1項に違反するものではない。
重要事実
被告人が刑事裁判において上告し、保釈が許されなかったために証人審問権を行使できなかったこと、および自白の強要があったこと等を理由に、憲法14条、31条、37条2項・3項、38条1項違反を主張した事案である。
あてはめ
1. 憲法37条2項違反について:記録によれば、被告人が保釈を許されなかったという事実をもって、証人審問権の行使が不可能であったとは認められない。したがって、身柄拘束の継続は同条違反の前提を欠く。 2. 憲法38条1項違反について:記録を精査したところ、被告人の自白は任意にされたものと認められる。したがって、自白の証拠採用は同条に違反しない。
結論
被告人の主張は前提を欠き、または単なる事実誤認・法令違反の主張にすぎないため、憲法違反には当たらず、本件上告を棄却する。
実務上の射程
身体拘束下での防御権行使の限界を示す判例である。答案上は、保釈の不許可が直ちに防御権侵害(憲法37条違反)を構成しないことを論証する際の根拠として活用できるが、本判決は簡潔な決定であるため、具体的な侵害の有無は個別事案の事情(接見交通の確保等)に応じて判断すべきである。
事件番号: 昭和35(あ)546 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】逮捕・勾留の手続に違憲、違法があったとしても、それは別個の救済方法によるべきであり、直ちに判決に影響を及ぼすものではない。また、逮捕から17日後の自白は、諸般の事情に照らし不当に長い拘禁後の自白とはいえず、任意性を欠くとは認められない。 第1 事案の概要:被告人が逮捕・勾留の違憲・違法を主張して上…