一 弁護権の不当な制限にあたる旨の違憲の主張が欠前提とされた事例 二 自動車の構造上の欠陥に基因する事故である旨の主張が排斥された事例―いわゆるホンダN三六〇欠陥車事件―
憲法37条3項,刑法211条
判旨
第一審の訴訟手続において弁護人の訴訟活動に対する不当な制約がない限り、憲法37条1項、3項、31条、32条に違反するとの主張は前提を欠き、上告理由にならない。
問題の所在(論点)
第一審の訴訟手続において、弁護人の訴訟活動に対する制約があったとされる場合、それが憲法37条、31条等に違反する違法な訴訟手続といえるか。
規範
刑事訴訟において被告人の権利(憲法37条1項・3項、31条、32条)が侵害されたといえるためには、具体的事実として、弁護人の訴訟活動が「不当に制約」された事実が認められなければならない。
重要事実
被告人が第一審の訴訟手続に関して、弁護人の訴訟活動に不当な制約があったと主張し、それが憲法37条1項、3項、31条、32条に違反すると訴えた事案である。原審(控訴審)は、記録に照らしてそのような不当な制約があったとは認められないと判断した。
あてはめ
本件記録によれば、第一審の訴訟手続において弁護人の活動が不当に制限された事実は認められない。したがって、憲法違反の主張は、その前提となる「不当な制約」という事実関係を欠いており、論理的に成立し得ない。また、その他の憲法31条違反の主張も、その実質は単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎない。
結論
本件第一審の訴訟手続に関し弁護人の訴訟活動の不当な制約があったとは認められないため、憲法違反の上告理由は認められず、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事手続の適正(憲法31条)や弁護権(37条3項)の侵害を主張する際、抽象的な権利侵害を論じるのではなく、具体的な「訴訟活動の制約」の有無を検討すべきという実務上の指針を示す。ただし、本決定自体は事実関係の判断に依拠しているため、規範としての厚みは薄い。
事件番号: 昭和56(あ)1397 / 裁判年月日: 昭和56年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が検察官の訴因変更を許可するにあたり、憲法31条、32条に反するような手続上の違法があるかが争われたが、最高裁は原審の判断を妥当とし、上告を棄却した。 第1 事案の概要:本件において、弁護人は原審が行った訴因変更の許可手続について、憲法31条、32条違反および判例違反(刑訴法405条)を主張…