私人の行ういわゆる競馬の「のみ行為」を処罰の対象とすべきかどうかは立法政策の問題であるとして憲法一四条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法14条
判旨
競馬法に基づき公共団体が行う勝馬投票券の発売行為が容認される一方で、私人が行う同法所定の賭博行為を処罰することは、立法政策の問題にすぎず、憲法14条に違反しない。
問題の所在(論点)
公共団体による勝馬投票券の発売が競馬法で公認されている一方で、私人が行う同法30条3号所定の行為を処罰の対象とすることは、憲法14条の平等原則に違反するか。
規範
特定の行為について、公認された主体(公共団体等)による実施を適法とする一方で、私人による実施を禁止し処罰の対象とするか否かは、国家の広範な裁量に属する立法政策の問題である。したがって、両者の扱いに差異を設けることに合理的な根拠が認められる限り、憲法14条の法の下の平等に反するものではない。
重要事実
上告人は、競馬法30条3号(勝馬投票類似の行為を目的とする一種の賭博場開帳図利等)に該当する行為を行ったとして起訴された。これに対し上告人は、公共団体が行う勝馬投票券(馬券)の発売行為は競馬法により公認されているにもかかわらず、私人が行う同様の行為のみを処罰することは、平等原則を定めた憲法14条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
競馬法が公共団体に対してのみ勝馬投票券の発売を認めているのは、公営競技としての厳格な管理運営を前提に、収益を畜産振興や地方財政の改善に充てるという公共の目的があるためである。これに対し、私人が無限定に行う賭博行為は、射幸心を煽り風俗を害する蓋然性が高く、公共性の観点から区別して禁止する必要がある。このような区別を設けることは、立法府に委ねられた「立法政策の問題」にとどまり、合理的な理由のない差別とはいえない。したがって、本件処罰規定が憲法14条に違反するという主張は、憲法判断の前提を欠く。
事件番号: 昭和54(あ)274 / 裁判年月日: 昭和54年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公共団体による勝馬投票券の発売が公認されている一方で、私人が行う同様の行為を競馬法30条3号により処罰することは、立法政策の問題に属し、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、競馬法30条3号に規定される勝馬投票券の発売に類似する行為(私設馬券の発売等)を行ったとして起訴された。これ…
結論
競馬法30条3号による私人の処罰は、憲法14条に違反しない。
実務上の射程
憲法14条における「合理的な差別」の判断において、公営ギャンブル等の特権的な法的枠組みと私人への規制を対比させる際の重要判例である。立法府の広範な裁量を肯定するロジック(立法政策論)として、経済的自由や社会政策的規制の場面で引用可能である。
事件番号: 昭和36(あ)2045 / 裁判年月日: 昭和38年9月18日 / 結論: 棄却
競馬法第三〇条第三号について、弁護人の上告趣意は、憲法第三一条、第一四条第一項違反をいうけれども、競馬法第六条、昭和二九年農林省令第五五号競馬法施行規則第一条の二には、「勝馬投票」の内容について具体的に規定されているのであるから、これに類似する行為を処罰する競馬法第三〇条第三号の規定が、犯罪の構成要件として所論のごとく…
事件番号: 昭和48(あ)1086 / 裁判年月日: 昭和48年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】競馬法および自転車競技法の禁止規定は、対象となる行為を何人に対しても禁止し、違反者を一律無差別に処罰するものであるから、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、競馬法30条3号および自転車競技法18条2号の各規定に違反する行為を行ったとして処罰された。これに対し、…