刑法の賭博罪の規定が憲法一四条に違反するとの主張を欠前提で処理した事例
憲法14条,刑法185条,刑法186条
判旨
公営競技等の賭博行為が公認されている一方で私人の賭博行為を処罰することは、立法政策の問題に帰すべきものであり、憲法14条の法の下の平等に違反しない。
問題の所在(論点)
公的な賭博行為が許容される一方で、私人の行う賭博行為を刑罰の対象とすることが、憲法14条1項の法の下の平等に違反するか。
規範
特定の行為が公的に許容されていることとの対比において、私人の同様の行為に当罰性を認めるか否かは、国家の合理的な裁量に基づく立法政策の問題である。したがって、かかる区別が直ちに憲法14条にいう不当な差別にあたることはない。
重要事実
被告人は賭博罪(刑法185条)に問われたが、公営競技(競馬や競輪等)などの特定の賭博行為が法律で公認されている現状に照らし、私人の賭博行為のみを処罰することは憲法14条1項の平等原則に反し、当罰性を欠くものであると主張して上告した。
あてはめ
公認された賭博と私的な賭博との間で処罰の有無に差異を設けることは、社会経済状況や公益上の必要性を考慮した立法府の政策的判断に委ねられている。本件において、所論のような公認行為の存在を理由に私人による賭博の当罰性を否定すべきという主張は、憲法上の適否の問題ではなく、あくまで立法政策上の当不当の問題にすぎない。したがって、憲法14条違反という主張は前提を欠く。
事件番号: 昭和53(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和54年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条の賭博罪が、公認された公営競技等との対比において私人の賭博行為のみを処罰の対象とする点は、立法政策の問題に属し、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が私的に賭博行為を行ったとして刑法185条に基づき起訴された。これに対し、弁護側は、国や公共団体が行う公営競技(公営ギャンブ…
結論
刑法の賭博罪の規定は憲法14条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法14条の違憲審査において、立法府の広い裁量が認められる「立法政策」の典型例として引用できる。形式的な平等ではなく、目的や背景に応じた区別が合理性を持つことを示唆する判断であり、答案上は立法裁量の広さを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和41(あ)1707 / 裁判年月日: 昭和42年6月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賭博を処罰する刑法の規定は、憲法13条が保障する個人の尊厳や幸福追求権に違反するものではない。 第1 事案の概要:上告人(被告人)は賭博罪に問われたが、賭博を処罰する刑法の規定は個人の自由を不当に制限するものであり、憲法13条に違反し違憲であると主張して上告した。 第2 問題の所在(論点):賭博を…