違法な捜査によつて得られた証拠を採用したとする違憲の諭旨を欠前提で処理した事例
憲法13条,憲法31条,憲法33条,憲法34条,憲法38条
判旨
刑事訴訟法328条に基づき提出された証拠は、犯罪事実を認定するための実質証拠として用いることはできず、これを証拠として採用していない以上、判決に違法はない。
問題の所在(論点)
刑訴法328条により提出された証拠を犯罪事実認定の直接の資料(実質証拠)とすることができるか。また、自白のみによる犯罪事実の認定や、違法な身体拘束下での自白の有無が問われた。
規範
刑事訴訟法328条に規定される「公判準備又は公判期日における供述を争うため」の証拠(弾劾証拠)は、供述の証明力を減殺するためにのみ許容されるものであり、犯罪事実の認定の資料(実質証拠)とすることは許されない。
重要事実
被告人は放火事件について、捜査段階での自白や証拠の採用方法に関し、憲法違反や判例違反を主張して上告した。特に、刑訴法328条により提出された証拠が犯罪事実の認定に利用されたのではないか、また、自白のみで犯罪事実が認定されたのではないかが争点となった。
あてはめ
記録に照らせば、原判決は被告人の自白のみで犯罪事実を認定したものではない。また、刑訴法328条に基づいて提出された証拠については、これを犯罪事実認定の資料とした事実は認められない。さらに、身体拘束が法定期間を超過しているなどの実質的な違法も存在せず、自白の任意性も認められる。
事件番号: 昭和44(あ)1371 / 裁判年月日: 昭和44年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】放火罪において、被告人の自白のみに基づいて犯罪事実を認定することは憲法38条3項に抵触するが、火災の状況に関する証拠等があれば、これを補強証拠として犯罪事実を認定することができる。 第1 事案の概要:被告人が放火の罪に問われた事案において、被告人は自白をしていた。弁護人は、本件の犯罪事実の認定が被…
結論
本件捜査および証拠採用に違法はなく、判例違反や憲法違反の主張は前提を欠くため、上告を棄却する。
実務上の射程
328条の証拠が実質証拠として機能することを否定した点で、証拠法の基本原則を確認する射程を持つ。答案上は、伝聞例外としての弾劾証拠の限界(犯罪事実認定の資料にしてはならないという制約)を論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和52(あ)2247 / 裁判年月日: 昭和53年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】供述の任意性に疑いがない限り憲法38条には違反せず、自白以外の証拠が存在する場合には自白のみを証拠とした有罪判決(憲法38条3項違反)には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、その供述の任意性に疑いがあること、および自白のみを唯一の証拠として有罪とされたことを…