一 北海道はアイヌ民族の領土であつて日本国の領土でないことを前提とする違憲の主張が欠前提とされた事例 二 監獄法及び同法施行規則の規定する懲罰や戒護は刑罰ではないから同一の犯罪について二重に処罰されたものではないとして違憲の主張が欠前提とされた事例
憲法76条,憲法39条,憲法36条
判旨
監獄法等に基づく懲罰や戒護は刑罰ではないため、これらを受けた後に刑事処罰を科しても、憲法39条の二重処罰の禁止には抵触しない。
問題の所在(論点)
刑事施設内で行われる行政上の懲罰や戒護の措置を受けた後に、同一の行為について刑事罰を科すことが、憲法39条の二重処罰の禁止に違反するか。
規範
憲法39条が禁じる「二重処罰」とは、刑事上の刑罰を二度科すことを指す。したがって、監獄法および同法施行規則に基づいて行われる懲罰や戒護といった行政上の措置は、刑事罰としての性質を有しないため、これらと刑事罰が併存しても同条には違反しない。
重要事実
被告人は、収容中の刑事施設において監獄法等に基づく懲罰や戒護の措置を受けた。その後、同一の行為を理由として刑事訴追を受けたため、被告人側はこれが憲法39条の二重処罰禁止および36条の残虐な刑罰の禁止等に抵触するとして争った。
あてはめ
監獄法および同法施行規則の規定する懲罰や戒護は、施設内の秩序維持や管理を目的とする行政上の措置であって、刑法上の刑罰とはその性質を異にする。したがって、被告人が同一の行為によってこれらの措置を受けたとしても、それは「刑事上の処罰」を二重に受けたことにはならない。
結論
監獄法上の懲罰等は刑罰ではなく、二重処罰の禁止を定めた憲法39条(および36条)違反の主張は前提を欠き、違憲とはいえない。
実務上の射程
刑事収容施設法(旧監獄法)上の懲罰と刑事罰の関係において、一事不再理の原則が及ばないことを示す基礎的な判例である。行政罰や懲罰的措置と刑事罰の併科を検討する際のリーディングケースとして活用できる。
事件番号: 昭和46(あ)1874 / 裁判年月日: 昭和47年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事罰と監獄法(現:刑事収容施設法)に基づく懲罰は、その目的・性質を異にするため、同一の行為に対して両者を併科しても憲法39条の二重処罰の禁止には違反しない。 第1 事案の概要:被告人は監獄(現在の刑務所等)に収容中、監獄法に基づく懲罰を受けた。その後、同一の行為を理由として刑事訴追を受けた。被告…