第一次上告審決定の判断に従つてした原判断を非難する違憲主張が不適法とされた事例
判旨
東京都集会示威運動等に関する条例における「だ行進」の禁止という許可条件は、その意義が不明確であるとはいえず、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
集団行進の許可条件として示された「だ行進の禁止」という表現が、明確性の原則(憲法31条等)に照らして違憲といえるか、その意義の明確性が問題となった。
規範
法規の規定が曖昧であり、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断基準が不明確な場合には、憲法の定める適正手続(憲法31条)に反し無効となる。しかし、用語の意義が具体的状況下で客観的に確定可能であれば、不明確ゆえに違憲とはならない。
重要事実
被告人は、昭和25年東京都条例第44号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)に基づき許可された集団行進において、許可条件として付された「だ行進の禁止」に違反したとして起訴された。被告人側は、当該許可条件の意義が不明確であり、憲法に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
本件において違反したとされる「だ行進」の禁止という条件について検討すると、その用語の意義は、集団行進の平穏な実施を確保するという条例の目的や、実際の道路交通状況における一般的な理解に照らせば、特段不明確であるとは認められない。したがって、行為者がどのような行為が禁止されているかを予見することは十分に可能であると解される。
結論
本件許可条件である「だ行進の禁止」の意義は不明確ではなく、憲法に違反しない。したがって、これに違反した行為を処罰することは正当である。
事件番号: 昭和48(あ)2464 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都公安条例の許可条件(だ行進の禁止)違反を処罰する規定は、公安委員会に条件の範囲を具体的に規定しているため、罰則の再委任には当たらず、表現の自由の不当な制限にもならない。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都公安条例に基づき、公安委員会から「だ行進(蛇行進)」を禁止する等の条件付許可を得て集団…
実務上の射程
本判決は、公安条例に基づく許可条件の明確性を肯定したものである。答案上では、憲法31条(または21条)の明確性の原則が論点となる際、特に「だ行進」のような一般的な用語を用いた条件であっても、具体的状況からその意義が特定可能であれば合憲とされるという判断枠組みを引用する際に活用できる。
事件番号: 昭和52(あ)1518 / 裁判年月日: 昭和54年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団行動の無許可・条件違反を処罰する条例の適用は、当該行動が交通秩序阻害の程度を超え、著しく長時間の交通麻痺等の実害が発生する客観的な可能性を含み、公共の安寧に対し直接かつ具体的な危険をもたらすと認められる場合に合憲となる。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都条例に基づく許可を得ず、あるいは許可…
事件番号: 昭和48(あ)2109 / 裁判年月日: 昭和50年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団行動に対し公安委員会の許可を要する条例であっても、不許可事由が「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」に厳格に制限されており、原則として許可が義務付けられているのであれば、憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:東京都条例第44号(東京都公安条例)は、集会、集団…
事件番号: 昭和42(あ)1388 / 裁判年月日: 昭和43年3月22日 / 結論: 棄却
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例および同条例に基づき東京都公安委員会が附した本件許可条件はいずれも憲法第二一条に違反する、同条例の運用は憲法第二一条、第三一条に違反するというのみであつて、原判決に対する不服の理由を具体的に明示したものとはいえない上告論旨(判文参照)は、たとい違憲の…
事件番号: 昭和35(あ)112 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 破棄差戻
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。