昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例および同条例に基づき東京都公安委員会が附した本件許可条件はいずれも憲法第二一条に違反する、同条例の運用は憲法第二一条、第三一条に違反するというのみであつて、原判決に対する不服の理由を具体的に明示したものとはいえない上告論旨(判文参照)は、たとい違憲の語を用い、憲法の条件を掲げるところがあつても、刑訴法第四〇五条所定の適法な憲法違反の主張とは認められない。
違憲の語を用い憲法の条文を掲げていてもその内容が具体的でなく適法な憲法違反の主張と認められない事例
刑訴法405条
判旨
刑訴法405条所定の適法な憲法違反の主張というためには、単に違憲の語を用い憲法の条文を掲げるだけでなく、判決に対する不服の理由を具体的に明示しなければならない。
問題の所在(論点)
単に「憲法違反である」と主張し条文を掲げるのみで、具体的な理由や原判決との関係を明示しない上告趣意が、刑訴法405条の適法な憲法違反の主張として認められるか。
規範
刑訴法405条に基づく上告理由としての憲法違反の主張は、対象となる条例の条項、具体的な違憲の理由、適用条文との関係、および当該違憲が原判決にどのような瑕疵をもたらすかを具体的に明示することを要する。これらの点が不明確な主張は、適法な憲法違反の主張とは認められない。
重要事実
被告人が、東京都集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例、および同条例に基づき公安委員会が付した許可条件について、憲法21条および31条に違反すると主張して上告した事案である。しかし、上告趣意書において、条例のどの条項がどのような理由で憲法に違反するのか、あるいは許可条件の内容・手続のいずれに違憲の事由があるのか等の具体的事項が示されていなかった。
事件番号: 昭和53(あ)1862 / 裁判年月日: 昭和54年11月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都集会示威運動等に関する条例における「だ行進」の禁止という許可条件は、その意義が不明確であるとはいえず、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和25年東京都条例第44号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)に基づき許可された集団行進において、許可条件として付された「だ行進の…
あてはめ
本件上告趣意は、条例や許可条件が憲法21条等に違反すると述べるのみであり、具体的な適用条文との関係や、許可条件自体の違憲か適用の違憲かといった詳細が一切不明である。このような不明確な主張は、原判決に対する不服の理由を具体的に明示したものとはいえず、刑訴法が求める上告理由の形式を備えていないと解される。
結論
本件上告を棄却する。具体的理由を欠く憲法違反の主張は、刑訴法405条所定の適法な上告理由には当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告趣意書の記載程度(明示の必要性)に関する判例である。憲法論を展開する際でも、具体的・個別的な違憲の根拠を示さなければ門前払い(棄却・却下)されるという手続的ルールを示しており、司法試験においては刑事訴訟法の上告の場面で引用し得る。
事件番号: 昭和52(あ)1518 / 裁判年月日: 昭和54年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団行動の無許可・条件違反を処罰する条例の適用は、当該行動が交通秩序阻害の程度を超え、著しく長時間の交通麻痺等の実害が発生する客観的な可能性を含み、公共の安寧に対し直接かつ具体的な危険をもたらすと認められる場合に合憲となる。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都条例に基づく許可を得ず、あるいは許可…
事件番号: 昭和48(あ)2109 / 裁判年月日: 昭和50年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団行動に対し公安委員会の許可を要する条例であっても、不許可事由が「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」に厳格に制限されており、原則として許可が義務付けられているのであれば、憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:東京都条例第44号(東京都公安条例)は、集会、集団…
事件番号: 昭和35(あ)112 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 破棄差戻
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。
事件番号: 昭和48(あ)2464 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都公安条例の許可条件(だ行進の禁止)違反を処罰する規定は、公安委員会に条件の範囲を具体的に規定しているため、罰則の再委任には当たらず、表現の自由の不当な制限にもならない。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都公安条例に基づき、公安委員会から「だ行進(蛇行進)」を禁止する等の条件付許可を得て集団…