数個の罪を一罪である旨主張して憲法三九条、三一条違反をいう諭旨が単なる法令違反の主張として処理された事例
憲法39条,憲法31条
判旨
供述調書の任意性については、記録上これを疑うべき証跡が認められない限り、適法に証拠能力が認められる。また、憲法39条や31条違反を主張しても、実質的に単なる法令違反にすぎない場合は適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
1. 供述調書の任意性を疑うべき事情があるか。 2. 憲法31条・39条違反の主張が刑訴法405条所定の適法な上告理由にあたるか。
規範
供述調書の証拠能力が認められるためには、その供述が任意になされたものであることを要する(刑訴法319条1項、322条1項等参照)。また、最高裁判所への上告理由(刑訴法405条)として憲法違反を主張する場合であっても、その実態が単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎないときは、不適法な上告として棄却される。
重要事実
被告人が供述調書の任意性を争うとともに、憲法39条(二重処罰の禁止等)および31条(適正手続)違反を主張して上告した事案。原審までの判断に対し、弁護人は憲法違反や再審事由、量刑不当等を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
1. 記録を精査しても、所論の供述調書について任意性を疑うべき証跡は認められない。したがって、証拠能力の判断に誤りはない。 2. 憲法39条および31条違反をいう点は、その実質において単なる法令違反の主張に帰するものである。これは刑訴法405条が定める憲法違反の上告理由としての適格を欠く。また、その他の事由も事実誤認や量刑不当の主張にすぎず、適法な上告理由にはあたらない。
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…
結論
本件上告を棄却する。被告人の供述調書には任意性の疑いがないため、証拠能力に問題はなく、また上告理由も実質的な法令違反にすぎないため不適法である。
実務上の射程
自白の任意性の判断において、具体的証跡の有無を重視する実務上の運用を確認するものである。答案上は、憲法違反を形式的に主張しても内容が伴わない場合は上告理由にならないという訴訟法上の論点や、任意性に関する証拠能力の検討において引用し得る。
事件番号: 昭和51(あ)923 / 裁判年月日: 昭和51年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白のみに基づいて有罪とすることは憲法38条3項に抵触するが、判決が自白以外の証拠も併せて証拠としていることが明白であれば、同条違反の前提を欠く。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、第一審判決および控訴審判決(原判決)がいずれも被告人の自白のみを証拠として有罪と…