思想の故に差別的科刑をしたものでないとして憲法一九条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法19条
判旨
思想を理由に被告人を重く処罰することは憲法19条に違反するが、記録上そのような事実が認められない場合には、違憲の主張は前提を欠くものとして退けられる。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人の思想を理由に処罰を重くすることが、憲法19条に違反するか。また、本件においてそのような不当な処罰が行われたといえるか。
規範
特定の思想を抱いていることのみを理由として、被告人を刑事罰において加重処罰することは、憲法19条の保障する思想及び良心の自由に反し許されない。
重要事実
被告人が特定の思想を有していることを背景に、量刑上不当に重く処罰されたとして、弁護人が憲法19条違反および31条違反を理由に上告した事案。
あてはめ
最高裁判所は記録を精査した結果、被告人をその思想の故に重く処罰した事実は認められないと判断した。したがって、弁護人の主張は前提を欠いており、憲法違反の問題は生じないとした。また、憲法31条違反の主張についても、実質は単なる事実誤認または法令違反の主張にすぎないと判断した。
事件番号: 昭和54(あ)937 / 裁判年月日: 昭和54年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所の判決理由において、表現の自由の制限に関する説示がなされたとしても、それが被告人の権利を侵害する意図でないことが明白であれば、憲法21条違反には当たらない。 第1 事案の概要:被告人4名が上告した事案において、原判決の説示が憲法21条に違反し被告人らの表現の自由を侵害するものであると主張して…
結論
本件において被告人が思想を理由に重く処罰された事実は認められず、憲法19条違反にはあたらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事実務において、量刑の算定にあたり被告人の反社会的な思想や再犯の危険性を考慮すること自体は否定されないが、内心の自由そのものを処罰対象とすることは許されないという限界を示す。答案上は、憲法19条違反の有無を検討する際の当てはめ段階で、処罰の対象が「行為」か「思想」かを区別する指標として言及しうる。
事件番号: 昭和46(あ)2731 / 裁判年月日: 昭和47年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、事実誤認および量刑不当を理由とする上告について、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条の職権破棄事由も認められないとして棄却した決定である。 第1 事案の概要:弁護人が、被告人に対する原判決について事実誤認および量刑不当を主張して上告を申し立てた事案である。判決文からは具…
事件番号: 昭和47(あ)1964 / 裁判年月日: 昭和48年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において憲法違反を主張するためには、原則として原審においてその旨の主張・判断がなされていることを要し、それがない場合は刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人は、自身の行為について憲法9条違反を理由に上告を申し立てた。しかし、原審(控訴審)の審理過程において、当該事案…
事件番号: 昭和57(あ)1653 / 裁判年月日: 昭和58年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人らによる行為が正当防衛の要件を満たさず、かつ現行犯逮捕の手続にも違法な点がない場合、憲法31条、33条等の規定に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人ら9名が特定の所為(詳細は判決文からは不明)に及んだ事案。被告人らは、自らの行為が正当防衛に該当し違法性が阻却されること、及び捜査機…
事件番号: 昭和49(あ)1475 / 裁判年月日: 昭和50年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の併合および分離の範囲は、受訴裁判所の合理的な裁量的判断によって決せられるべき事柄である。 第1 事案の概要:第一審において、いわゆる分割審理(同一事件の被告人らや関連事件を分離して審理すること)が行われた。これに対し弁護人は、かかる審理方式が憲法37条(迅速な裁判、証人尋問権等)や憲法31条…