公務執行妨害罪の現行犯人として逮捕された直後の両手錠をかけたまま呼気検査についての違憲(三一条)主張が欠前提とされた事例
憲法31条
判旨
呼気検査が強制にわたるものではなく、かつ派出所への同行が任意捜査の域を超えない場合には、当該捜査は適法である。
問題の所在(論点)
警察官による呼気検査および派出所への同行が、強制捜査に該当し違憲・違法となるか(任意捜査の限界)。
規範
任意捜査(刑事訴訟法197条1項)として許容されるためには、対象者の意思を制圧するような強制(憲法31条、33条参照)にわたらないことが必要である。呼気検査についてはその態様が強制にわたらないこと、同行についてはその手段・態様が任意捜査の限界(事案の重大性、必要性、緊急性等と権利侵害の程度の衡平)を超えないことが判断基準となる。
重要事実
被告人Aに対し、警察官が酒気帯び運転の疑いで呼気検査を実施した。また、その際、被告人を派出所まで同行させた。弁護人は、これらの行為が強制捜査に該当し、憲法31条および33条に違反する違法なものであると主張して上告した。
あてはめ
本件における呼気検査は、被告人の意思を不当に制圧して実施されたものではなく、強制にわたるものとは認められない。また、派出所への同行についても、強制的に連行したといった事情は認められず、任意捜査として許容される範囲内にとどまっている。したがって、一連の捜査手続に憲法違反や違法な強制は認められないと評価される。
事件番号: 昭和50(あ)146 / 裁判年月日: 昭和51年3月16日 / 結論: 棄却
一 任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。 二 警察官が…
結論
本件の呼気検査および同行は任意捜査の域を超えず適法である。
実務上の射程
職務質問に伴う呼気検査や任意同行の適法性が争われる事案における、強制・任意の区別の基本原則を示す。実務上は、検査時の物理的強制力の有無や、同行時の説得の態様、時間的拘束の程度を具体的に検討する際の準拠となる。
事件番号: 昭和52(あ)1846 / 裁判年月日: 昭和53年9月22日 / 結論: 棄却
交通違反取締中の警察官が、信号無視の自動車を現認しこれを停車させた際、下車した運転者が酒臭をさせており、酒気帯び運転の疑いが生じたため、酒気の検知をする旨告げたところ、同人が、警察官が提示を受けて持つていた運転免許証を奪い取り、自動車に乗り込んで発進させようとしたなど判示の事実関係のもとでは、警察官が自動車の窓から手を…
事件番号: 昭和49(あ)58 / 裁判年月日: 昭和49年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の尿の採取手続きが違法であるとの主張に対し、記録上はそのような事実は認められないとして、強制採尿等に関する憲法違反の主張を排斥した。 第1 事案の概要:被告人の尿が採取され、その手続の違法性が争点となった事案である。被告人側は、当該尿採取が憲法31条(適正手続の保障)および37条1項(公平な…