違憲の主張が前提を欠き不適法とされた事例
道交法67条2項,道交法120条1項11号,道交法施行令26条の2
判旨
警察官が被告人の身体に保有するアルコールの程度を捜査するために行う呼気の採取検査は、被告人の承諾を得て行われる限り、任意の取調べとして適法である。したがって、強制捜査に該当することを前提とする違憲の主張は失当である。
問題の所在(論点)
警察官が道路交通法等の規定に基づき(またはそれに関連して)行う呼気採取検査が、被告人の承諾を得て行われた場合に、強制捜査として違憲の評価を受けるか。すなわち、任意捜査としての適法性が認められるかが問題となる。
規範
捜査機関が、対象者の承諾を得て行う任意の取調べとして実施する呼気採取検査は、強制捜査には当たらない。したがって、令状主義を定めた憲法の規定に違反するものではない。
重要事実
被告人は、道路交通法違反(酒気帯び運転等)の疑いで捜査を受けていた。警察官は、被告人の身体に保有するアルコールの程度を調査するため、呼気の採取検査を実施した。この際、警察官は被告人から検査実施についての承諾を得ていた。
あてはめ
本件において、警察官は被告人の身体に含まれるアルコール量を捜査する目的で呼気採取を行っているが、これは被告人の承諾を得た上で行われたものである。このように相手方の自由な意思に基づく承諾がある場合には、物理的な強制力を行使して義務を課す強制捜査には該当せず、任意の取調べの一環として許容される。したがって、強制処分であることを前提に道路交通法等の規定の違憲をいう主張は、その前提を欠くといえる。
事件番号: 昭和52(あ)1706 / 裁判年月日: 昭和53年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】呼気検査が強制にわたるものではなく、かつ派出所への同行が任意捜査の域を超えない場合には、当該捜査は適法である。 第1 事案の概要:被告人Aに対し、警察官が酒気帯び運転の疑いで呼気検査を実施した。また、その際、被告人を派出所まで同行させた。弁護人は、これらの行為が強制捜査に該当し、憲法31条および3…
結論
被告人の承諾を得て行われた呼気採取検査は、任意の取調べとして適法であり、違憲の主張は理由がない。
実務上の射程
本判決は、承諾がある場合の呼気採取の任意捜査としての適法性を簡潔に認めたものである。答案上は、令状なき呼気採取が問題となる事案において、まず「承諾の有無」を確認し、承諾があれば任意捜査として適法となることを示す際に活用できる。なお、承諾がない場合の強制採取については、別途道路交通法67条2項の性質や刑事訴訟法上の令状に関する議論が必要となるが、本判決はその前提となる「任意捜査の限界」を画する意義を持つ。
事件番号: 昭和50(あ)307 / 裁判年月日: 昭和50年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の尿の採取について、適正な手続により実施されたものであれば、憲法31条(適正手続)および35条(住居等の不可侵・捜索押収の要件)に違反せず、その適法性が認められる。 第1 事案の概要:被告人が覚せい剤取締法違反等の疑いで捜査を受けた際、捜査機関によって被告人の尿の採取が行われた。弁護人は、当…
事件番号: 昭和49(あ)58 / 裁判年月日: 昭和49年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の尿の採取手続きが違法であるとの主張に対し、記録上はそのような事実は認められないとして、強制採尿等に関する憲法違反の主張を排斥した。 第1 事案の概要:被告人の尿が採取され、その手続の違法性が争点となった事案である。被告人側は、当該尿採取が憲法31条(適正手続の保障)および37条1項(公平な…