特別抗告申立書を直接当裁判所に差し出し、その時点で抗告提起期間が経過していることが明らかであるから、原裁判所に回送するまでもなく不適法とした事例
判旨
特別抗告の申し立ては、刑事訴訟法に基づき原裁判所に申立書を差し出す必要があり、提起期間経過後に直接最高裁判所へ提出された申し立ては、不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
特別抗告の申立書の提出先として最高裁判所を選択することの可否、および提起期間経過後の申し立ての適法性が問題となる。
規範
特別抗告を申し立てるには、刑事訴訟法434条、423条1項に基づき、申立書を「原裁判所」に差し出さなければならない。また、その提起期間は、同法433条2項により、裁判の告知を受けた日から「5日」以内と定められている。
重要事実
申立人は、熊本地方裁判所裁判官がした証拠保全請求却下の裁判に対し、特別抗告を申し立てた。しかし、申立人は申立書を原裁判所である熊本地方裁判所ではなく、直接最高裁判所に差し出した。さらに、最高裁判所に差し出した時点ですでに5日の抗告提起期間が経過していた。
あてはめ
刑事訴訟法上の手続によれば、特別抗告の申立書は原裁判所に提出すべきところ、本件では直接当裁判所(最高裁)に差し出されており、提出先を誤っている。加えて、記録上、当該提出時点においてすでに法定の提起期間である5日を経過していることが明らかである。したがって、本件申し立ては適法な形式および期間を遵守したものとは認められない。
結論
本件特別抗告の申し立ては不適法であり、棄却を免れない。
事件番号: 昭和43(し)81 / 裁判年月日: 昭和43年11月20日 / 結論: 棄却
本件特別抗告の提起期間は、昭和四三年九月二四日までであるところ、本件特別抗告の申立書は、同日午後五時一五分最高裁判所に差し出されたが、翌二五日原裁判所である東京地方裁判所に回送されて到達したものであるから、本件特別抗告の申立は、提起期間経過後のものであつて、不適法である。
実務上の射程
上訴提起の手続(提出先および期間)に関する形式的要件の厳格性を認めるものである。答案上は、特別抗告や再抗告などの上級審への不服申し立てにおいて、原裁判所提出主義を欠いた場合や不変期間を徒過した場合の不適法事由として引用する。
事件番号: 昭和40(し)45 / 裁判年月日: 昭和40年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立ては、法定の抗告提起期間内に申立書を原裁判所に提出して行わなければならず、直接最高裁判所に提出された申立書が期間経過後に原裁判所に到達した場合は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、福岡高裁宮崎支部による裁判官忌避申立却下決定の送達を昭和40年5月23日に受けた。特別抗告の提起…
事件番号: 昭和36(し)49 / 裁判年月日: 昭和36年11月29日 / 結論: 棄却
申立人に対する広島高裁松江支部昭和三六年(う)第三七号窃盗、封印破棄、傷害被告事件について、昭和三六年九月二一日広島高等裁判所がした裁判官忌避申立却下決定に対する異議申立の棄却決定に対し、特別抗告の申立があつたが、本件記録によれば、原決定の謄本が申立人に送達されたのは昭和三六年九月二四日であるから、申立人が特別抗告をす…
事件番号: 昭和35(し)18 / 裁判年月日: 昭和35年5月28日 / 結論: 棄却
証拠保全手続は控訴審には適用がないと解するのが相当である。
事件番号: 昭和51(し)118 / 裁判年月日: 昭和51年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留取消請求を却下した地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:被告人は兇器準備集合および傷害の罪で起訴されていた。昭和51年10月25日、静岡地方裁判所沼津支部は、被告人に対する勾留取消請求を却下する決…