司法警察員のした押収等の処分に関する憲法三五条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法35条
判旨
司法警察員が所持人の任意提出を求め、これを受けて提出された所持品を領置した行為は、本人の意に反する強制的な行為に及んだと認められない限り、憲法35条に違反しない。
問題の所在(論点)
司法警察員による所持品の任意提出・領置の手続において、申立人の意に反する態様があったか、また、そのような手続が憲法35条に違反するか。
規範
任意提出を受けた物の領置(刑事訴訟法221条)が適法であるためには、それが真に所持人の意思に基づくものであることを要する。相手方の意に反する強制的な行為、すなわち、相手方の意思を制圧して行われる強制捜査にあたらない限り、憲法35条が保障する住居・書類・所持品の不可侵を侵害するものではない。
重要事実
司法警察員が申立人に対し、その所持品の任意提出を求めた。申立人はこれに応じて所持品を提出し、司法警察員はこれを領置した。申立人側は、この手続が憲法35条に違反するものであるとして抗告した。
あてはめ
記録に照らしても、司法警察員が申立人の意に反する行為、すなわち身体や所持品に対して強制力を行使したり、意思を不当に制圧したりしたことを疑わせる証跡は認められない。したがって、本件領置は任意捜査の範囲内であり、適法に提出されたものといえる。申立人が主張する違憲の前提となる「意に反する行為」という事実自体が存在しない。
事件番号: 昭和43(し)91 / 裁判年月日: 昭和44年8月27日 / 結論: 棄却
司法警察員が押収物を被害者に還付した後、当該押収物が他に売却、搬出され、被害者方に存在しなくなつた場合には、当該被害者還付処分の取消を求める準抗告は、実益を欠き、不適法である。
結論
本件領置は憲法35条に違反せず、適法である。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
任意提出の形式をとりつつも、実質的に強制にわたる捜査(強制処分法定主義・令状主義の潜脱)を否定する際の基準となる。答案上は「相手方の意思を制圧し、身体・住居・所持品等に強制的な制約を加えて、強制捜査にわたったといえるか」を検討する際の基礎的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和48(し)78 / 裁判年月日: 昭和48年10月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】抗告の理由として違憲を主張する場合であっても、理由についての具体的な主張を欠き、抗告期間内にその補充もなされないときは、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人が本件抗告において憲法違反を主張したが、その理由についての具体的な主張を欠いていた。また、抗告期間内にその具体的な内容を補充…
事件番号: 平成15(し)42 / 裁判年月日: 平成15年6月30日 / 結論: その他
1 捜査機関による押収処分を受けた者は,刑訴法222条1項において準用する123条1項にいう「留置の必要がない」場合に当たることを理由として,当該捜査機関に対して押収物の還付を請求することができる。 2 捜査機関による押収処分を受けた者から,還付請求を却下した処分の取消しと自己への還付を求めて刑訴法430条2項の準抗告…
事件番号: 令和7(し)177 / 裁判年月日: 令和7年11月10日 / 結論: その他
刑訴法430条の準抗告裁判所は、捜査機関の処分の当否を判断するに当たり、捜査機関が当該処分当時に収集していた資料のみならず、その当時の事実に関する資料であって、その後に捜査機関が収集し、又は裁判所に提出されたものについても考慮に入れるべきである。
事件番号: 昭和45(し)18 / 裁判年月日: 昭和45年9月17日 / 結論: 棄却
司法警察員がした差押処分等の取消を求める準抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に当該差押物件が準抗告申立人に還付された場合には、差押処分等の取消を求める法律上の利益を欠くに帰したものであり、特別抗告が、この法律上の利益があることを前提とするときは、前提を欠くものとして棄却を免れない(最高裁判所昭和四二年(し…