特別抗告の利益が失われたとして棄却された事例
刑訴法82条
判旨
刑事訴訟において抗告の利益が失われた場合には、当該抗告は不適法として棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
抗告の提起後に、抗告を維持する利益が失われた場合、裁判所はどのような判断を下すべきか。
規範
抗告審における手続において、申立ての対象となった処分等の効力が消滅したり、裁判をする必要性が失われたりした場合には、「抗告の利益」が失われたものとして、刑訴法426条1項(434条により準用)に基づき、決定で抗告を棄却すべきである。
重要事実
抗告人が提起した抗告に関し、本決定がなされるまでの間に、その抗告を継続する実益(利益)が失われる事態が生じた(具体的な事実関係については判決文からは不明)。
あてはめ
本件においては、抗告がなされた後にその利益が失われたことが認められる。したがって、実体的な判断を行うまでもなく、手続上の要件を欠くものとして処理されるべきである。
結論
事件番号: 昭和43(し)65 / 裁判年月日: 昭和43年9月11日 / 結論: 棄却
勾留中の被告人がその事件につき実刑の有罪判決を受けこれが確定したときは、もはや保釈の問題を生じない。
本件抗告は利益を失ったものというべきであるから、棄却を免れない。
実務上の射程
訴訟条件としての「訴えの利益(不服申立ての利益)」の欠如に関する判示であり、勾留取消請求の却下に対する抗告中に被告人が釈放された場合など、現状回復が不可能な場面での答案構成に活用できる。実務上、事後的に不服申立ての目的が達成された場合や消滅した場合の定型的な処理を示すものである。
事件番号: 昭和42(し)1 / 裁判年月日: 昭和42年5月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留に対する準抗告を棄却した決定に対し特別抗告がなされた場合であっても、被疑者が釈放されたときは、当該抗告について裁判をする実益がない。 第1 事案の概要:被疑者は銃砲刀剣類所持等取締法違反等の容疑で勾留され、これに対する準抗告が棄却されたため、弁護人が特別抗告を申し立てた。しかし、当該特別抗告の…
事件番号: 昭和31(し)61 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
勾留理由開示の請求を却下する決定で高裁がしたものに対しては、たとい判決後にしたものであつても、刑訴四二八条二項により、その高等裁判所に通常の抗告に代る異議の申立をすることができるのである。従つて原判決は同四三三条にいう「この法律により不服を申立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申立…
事件番号: 昭和56(し)124 / 裁判年月日: 昭和56年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官の手持証拠に対する証拠開示命令を認めない決定は、判決前の訴訟手続に関する決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しないため、特別抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:検察官が手持証拠について開示命令を発しないよう求め、裁判所…
事件番号: 昭和53(し)38 / 裁判年月日: 昭和53年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下決定に対する特別抗告の申立て後に、本案である被告事件の裁判が確定した場合には、抗告の申立ては実益がなくなり不適法となる。 第1 事案の概要:恐喝被告事件に関し、被告人は保釈請求却下決定に対する異議申立棄却決定を受け、これに対して最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その特別抗告の審…