裁判所がした検察官による弁護人と被告人との接見に関する処分に対する準抗告決定に対する特別抗告が利益を欠いて不適法とされた事例―北海道庁爆破事件―
刑訴法39条1項
判旨
接見指定に関する裁判所の取消決定に対し、指定された日時が経過した後に不服を申し立てることは、もはや原決定を取り消す実益がないため、法律上の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
接見指定処分の取消決定等に対し、指定の日時が経過した後に特別抗告を申し立てることに「法律上の利益」が認められるか。
規範
不服申立ての対象となっている処分の効力や内容が、時間の経過や状況の変化によって既に実現・終了し、裁判所がそれを取り消したとしても申立人の権利・利益を回復することができない場合には、訴えの利益(法律上の利益)を欠くものとして不適法となる。
重要事実
札幌地検の検察官が、弁護人と被告人との接見時間を制限する処分を行った。これに対し、札幌地裁は昭和51年10月7日、検察官の処分を取り消し、同日に60分間の接見を拒絶してはならない旨の決定を下した。検察官側はこの地裁の決定を不服として特別抗告を申し立てたが、審理の時点ですでに指定された接見の日時(10月7日)は経過していた。
あてはめ
本件における特別抗告の対象は、特定の日時(昭和51年10月7日)における接見の拒否を取り消し、かつ一定時間の接見を認めるよう命じた地裁の決定である。しかし、最高裁判所が本件を判断する時点において、すでに当該指定日は経過している。この状況下で地裁の決定を取り消したとしても、過去の接見の可否に関する法的状態を遡及的に是正する実益はなく、申立人にとって特段の法的利益を回復する余地はないといえる。
事件番号: 昭和50(し)48 / 裁判年月日: 昭和50年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定処分により指定された日時が経過した後に申し立てられた不服申立ては、もはや処分の取り消し等によって回復すべき法律上の利益を欠き、不適法である。 第1 事案の概要:検察官は昭和50年6月12日、弁護人に対し、同年6月16日までは被告人と接見させない旨の接見指定処分を行った。弁護人はこの処分を不…
結論
本件特別抗告は、指定日の経過により法律上の利益を欠くに至ったため、不適法として棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法上の準抗告や特別抗告において、時間の経過によって処分が事実上終了した場合の訴えの利益の有無を判断する際の基礎となる。接見指定のように「時」が要素となる処分については、迅速な争訟解決がなされない限り、実体判断に踏み込めないという実務上の制約を示している。
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
事件番号: 昭和49(し)45 / 裁判年月日: 昭和49年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留処分に対する不服申立てにおいて、当該勾留の期間が既に経過している場合には、処分の効力を争う利益が失われるため、申立ては不適法(理由がない)となる。 第1 事案の概要:検察官による勾留処分がなされたが、特別抗告の審理時点において、当該勾留処分の対象となっていた期間(昭和49年4月24日まで)は既…
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 昭和50(し)49 / 裁判年月日: 昭和50年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見禁止処分の解除期限が経過した後に提起された不服申立ては、もはや処分の効力が消滅しており、取り消す実益がないため、法律上の利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:東京地方検察庁の検察官は、昭和50年6月12日、抗告人と被告人Aとの接見について「同年6月16日ころまで認めない」旨の…