被告事件の弁護人が別件被疑事件(勾留中)の捜査上の理由をもつて接見を拒否されたとする不服申立が利益を欠いて不適法とされた事例
刑訴法39条1項
判旨
接見指定処分により指定された日時が経過した後に申し立てられた不服申立ては、もはや処分の取り消し等によって回復すべき法律上の利益を欠き、不適法である。
問題の所在(論点)
接見指定処分によって指定された期間が経過した後に、当該処分の取消しを求めて申し立てられた不服申立てに、法律上の利益(訴えの利益)が認められるか。
規範
刑事訴訟法上の不服申立て(特別抗告等)が適法であるためには、裁判時において当該処分を争う「法律上の利益」が存続していなければならない。期間の経過等によって処分の効果が消滅し、現状を回復することが物理的または法律的に不可能となった場合には、特段の事情がない限り、訴えの利益(不服申立ての利益)は失われる。
重要事実
検察官は昭和50年6月12日、弁護人に対し、同年6月16日までは被告人と接見させない旨の接見指定処分を行った。弁護人はこの処分を不服として特別抗告を申し立てたが、その申立てがなされたのは指定日を経過した後の同月19日であった。
あてはめ
本件における不服申立ての対象は、「昭和50年6月16日前には被告人と接見させない」という接見指定処分である。しかし、弁護人が特別抗告を申し立てたのは同年6月19日であり、すでに指定された期間(16日まで)は経過している。この時点では、処分の効力は既に消滅しており、裁判所がこれを取り消したとしても、過去の接見制限という事実状態を遡及的に解消することはできない。したがって、本件申立てには救済の必要性が認められない。
事件番号: 昭和49(し)45 / 裁判年月日: 昭和49年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留処分に対する不服申立てにおいて、当該勾留の期間が既に経過している場合には、処分の効力を争う利益が失われるため、申立ては不適法(理由がない)となる。 第1 事案の概要:検察官による勾留処分がなされたが、特別抗告の審理時点において、当該勾留処分の対象となっていた期間(昭和49年4月24日まで)は既…
結論
指定日の経過後に申し立てられた本件特別抗告は、法律上の利益を欠き、不適法として棄却される。
実務上の射程
接見指定等の「時の経過」によって内容が実現・終了してしまう処分については、期間経過後の争い方が問題となる。実務・答案上は、本判例の立場(利益なし)を前提としつつ、国家賠償請求への移行や、反復継続の恐れがある場合の例外的な訴えの利益の有無(行政事件訴訟法の議論の類推)を検討する際の出発点となる。ただし、本決定自体は純粋に刑事訴訟手続上の利益を否定したものである。
事件番号: 昭和50(し)49 / 裁判年月日: 昭和50年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見禁止処分の解除期限が経過した後に提起された不服申立ては、もはや処分の効力が消滅しており、取り消す実益がないため、法律上の利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:東京地方検察庁の検察官は、昭和50年6月12日、抗告人と被告人Aとの接見について「同年6月16日ころまで認めない」旨の…
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
事件番号: 昭和51(し)108 / 裁判年月日: 昭和51年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する裁判所の取消決定に対し、指定された日時が経過した後に不服を申し立てることは、もはや原決定を取り消す実益がないため、法律上の利益を欠き不適法である。 第1 事案の概要:札幌地検の検察官が、弁護人と被告人との接見時間を制限する処分を行った。これに対し、札幌地裁は昭和51年10月7日、検…
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…