児童福祉法六〇条三項但書の規定違憲(三一条)の主張が不適法とされた事例
児童福祉法60条3項但,憲法31条
判旨
児童福祉法違反の罪において、対象者が児童ではないと誤信していたとしても、戸籍謄本や親権者を通じた年齢確認を怠った場合には過失が認められ、処罰を免れない。
問題の所在(論点)
児童福祉法34条1項の禁止行為において、対象者が児童ではないと誤信していた場合に、年齢確認を怠った過失の有無が刑責に影響を及ぼすか。
規範
行政刑法規における対象の属性(児童性等)の誤信については、その誤信が真にやむを得ないものといえるか、あるいは確認義務を尽くしたといえるかという観点から、過失の有無が判断される。具体的には、公的書類による確認や関係者への照会といった客観的に期待される確認措置を講じたか否かが基準となる。
重要事実
被告人は、児童福祉法34条1項6号(淫行をさせる行為)および9号(児童を客に接する業務に従事させる行為)に該当する行為を行った。被告人は、対象者が児童(18歳未満)であることを知らず、児童ではないと誤信していたと主張したが、戸籍謄本の確認や、児童の親権者らを通じての年齢確認といった措置を一切講じていなかった。
あてはめ
本件において、被告人は対象者が児童であることを否定する誤信を抱いていた。しかし、年齢を確認するためには戸籍謄本等の公的な資料を確認することや、直接親権者に問い合わせるなどの確実な手段が存在した。これらの措置を講じなかったことは、児童福祉法が求める児童保護の要請に照らして尽くすべき確認義務の懈怠にあたる。したがって、被告人には年齢の誤信について過失があるといえる。
結論
被告人に年齢確認上の過失が認められる以上、児童ではないと誤信していたとしても児童福祉法違反の罪は成立し、有罪を免れない。
実務上の射程
本判決は、行政法規上の年齢制限違反において「過失」を認める際の基準を示している。実務上、風営法や児童福祉法違反の事案で、単に「見た目が大人びていた」「本人から成人と聞いた」という弁解に対し、公証書類による確認義務を対置して過失を肯定する際の有力な根拠となる。答案上は、故意を欠く場合でも過失罰の規定(児童福祉法60条等)がある場合に、義務違反の内容を具体化するために活用する。
事件番号: 昭和27(あ)5497 / 裁判年月日: 昭和29年9月11日 / 結論: 棄却
一 所論刑訴三二一条第一項第三号但書の「特に信用すべき情況」については事実審の裁量規定に関する事項であり(昭和二五年(あ)第一六五七号、同二八年七月一〇日第二小法廷判決、集七巻七号一四七四頁参照)、また所論供述者が一八歳未満の者であることの一事をもつては、未だ右刑訴同条の「特に信用すべき情況」でないといい得ないことは論…