上告棄却決定に対し被告人の住居表示の誤りを理由とする異議申立の適否
判旨
刑事訴訟法414条、386条1項3号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対し、同法415条に基づく訂正の申立てをすることは許されない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法414条、386条1項3号に基づく上告棄却の「決定」に対し、同法415条の「判決の訂正」の申立てをすることが可能か。また、住居の記載の誤りを理由とする不服申立てが、適法な異議の申立てとして認められるか。
規範
刑事訴訟法415条1項が定める判決の訂正の申立ては、最高裁判所の「判決」を対象とするものであり、同法414条、386条1項3号に基づく上告棄却の「決定」に対しては、これを準用または適用して訂正の申立てを行うことはできない。また、異議の申立て(414条、386条2項)が認められるためには、裁判の内容自体に誤りがあることを要する。
重要事実
最高裁判所は、被告人の上告に対し、刑事訴訟法414条、386条1項3号の規定を適用して上告棄却の決定を下した。これに対し、申立人は判決の訂正を求める申立てを行った。なお、申立の内容は被告人の住居の記載に誤りがあるというものであった。
あてはめ
最高裁判所が上告を棄却する際に用いた形式は「決定」であり、刑事訴訟法415条が対象とする「判決」には該当しない。したがって、形式面において訂正の申立ては不適法である。また、本件申立てを仮に異議の申立てと解したとしても、申立理由が「被告人の住居の記載の誤り」にすぎない場合、それは裁判の本質的な判断内容(有罪・無罪や刑の量定等)の誤りを指摘するものではない。ゆえに、適法な異議の要件を欠くと評価される。
結論
本件訂正の申立ては不適法であり棄却される。また、異議の申立てとしても、裁判の内容の誤りを理由とするものではないため棄却を免れない。
事件番号: 昭和30(す)73 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法414条・386条1項3号に基づき上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同法414条・386条2項による異議の申立ては認められるが、判決の訂正の申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が刑事訴訟法414条、386条1項3号に基づき下した上告棄却の決定に対…
実務上の射程
最高裁判所の裁判形式が「決定」か「判決」かによって、法が認める不服申立て手段が厳格に区別されることを示したものである。答案作成上は、刑事訴訟法415条の対象を「判決」に限定する解釈の根拠として利用できるほか、異議の申立てにおける「裁判の内容の誤り」の意義を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和45(す)122 / 裁判年月日: 昭和45年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が上告を棄却した決定に対しては、刑訴法414条及び386条2項に基づき異議の申立てをすることは可能であるが、決定の訂正を求める申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所が、刑事訴訟法414条、386条1項3号に基づき、被告人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、被告…
事件番号: 昭和26(す)312 / 裁判年月日: 昭和26年9月13日 / 結論: 棄却
然し当裁判所のした上告棄却の決定に対する本件訂正申立はただ被告人の本籍地の表示の訂正を求めるだけであつて、当裁判所の前示裁判の内容に誤のあることを理由とするものでなく、従つて、刑訴四一五条一項の要件を欠くから同四一七条一項に従いこれを棄却する。
事件番号: 昭和30(す)47 / 裁判年月日: 昭和30年2月23日 / 結論: 棄却
刑訴第四一四条、第三八六条第一項第三号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同第四一四条、第三八六条第二項により異義の申立をすることができるが、訂正の申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和45(す)278 / 裁判年月日: 昭和45年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所の上告棄却決定に対する判決訂正の申立ては許されず、内容に誤りがない住居記載の訂正のみを求める申立ては不適法である。 第1 事案の概要:傷害、暴行被告事件について、最高裁判所が上告棄却の決定を下した。これに対し弁護人が「判決訂正申立」という標題の書面を提出したが、その内容は裁判の判断内容そ…