然し当裁判所のした上告棄却の決定に対する本件訂正申立はただ被告人の本籍地の表示の訂正を求めるだけであつて、当裁判所の前示裁判の内容に誤のあることを理由とするものでなく、従つて、刑訴四一五条一項の要件を欠くから同四一七条一項に従いこれを棄却する。
本籍地の表示の訂正申立と刑訴法第四一五条第一項
刑訴法415条1項,刑訴法417条1項
判旨
刑事訴訟法415条1項に基づく判決訂正の申立は、裁判の内容に誤りがあることを理由とする場合に限り認められる。被告人の本籍地表示の誤りという形式的な不一致の訂正を求めるのみでは、同条の要件を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
被告人の本籍地表示の誤りを正すための申立てが、刑事訴訟法415条1項にいう「判決の内容に誤りがあることを発見した」場合に該当し、判決訂正の対象となるか。
規範
刑事訴訟法415条1項による判決の訂正は、上告裁判所の判決の内容に誤りがあることを理由とする場合に限り許容される。判決の付随的事項や裁判の本質に関わらない形式的な記載の訂正を求めるものは、同条の想定する訂正事由に該当しない。
重要事実
被告人が最高裁判所の決定に対し、決定に記載された本籍地の表示が事実と異なると主張して訂正を申し立てた事案。被告人は当該決定がなされる前に、既に福島県内の別の場所へ転籍していたが、決定書には旧本籍地が記載されていた。
事件番号: 昭和26(す)268 / 裁判年月日: 昭和26年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決訂正の申立において、申立人がその理由を何ら示さない場合には、刑事訴訟法417条により申立を棄却すべきである。 第1 事案の概要:横領、銃砲等所持禁止令違反の被告事件に関し、昭和26年7月10日に下された最高裁判所の決定に対し、被告人および弁護人が判決訂正の申立を行った。しかし、申立人らは当該申…
あてはめ
本件申立は、単に被告人の本籍地の表示という形式的事項の訂正を求めるものにすぎない。これは、当裁判所が示した判断そのもの、すなわち裁判の内容に誤りがあることを理由とするものではない。したがって、法が定める判決訂正の趣旨には合致せず、適法な訂正事由を欠いていると評価される。
結論
本件訂正申立は、刑事訴訟法415条1項の要件を欠くため、同法417条1項に基づき棄却される。
実務上の射程
判決訂正制度(415条)の対象が「裁判の内容の誤り」に限定されることを明示したものである。実務上、被告人の特定事項などの形式的な不備は、内容の誤りには含まれないため、同条による救済の対象外となる点に注意を要する。
事件番号: 昭和30(す)47 / 裁判年月日: 昭和30年2月23日 / 結論: 棄却
刑訴第四一四条、第三八六条第一項第三号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同第四一四条、第三八六条第二項により異義の申立をすることができるが、訂正の申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和26(み)15 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に内容の誤りがあるとしてなされた訂正の申立てについて、申立てに理由がない場合には、刑事訴訟法417条1項に基づき、決定をもってこれを棄却すべきである。 第1 事案の概要:本件において、申立人は最高裁判所の判決に対し、内容に誤りがあるとして判決訂正の申立て(刑事訴訟法417条1項、刑事訴訟法施行…
事件番号: 昭和30(す)198 / 裁判年月日: 昭和30年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が刑訴法414条、386条1項3号に基づき上告を棄却した決定に対しては、同法415条に基づく判決の訂正の申立をすることは許されない。 第1 事案の概要:最高裁判所は、刑訴法414条、386条1項3号に基づき、申立人の上告を棄却する決定を下した。これに対し、申立人は当該決定の訂正を求めて申…