いわゆる分割審理及び国選弁護人の辞任申出を容れなかつたことの違憲をいう主張が不適法とされた事例
憲法31条,憲法32条,憲法32条3項
判旨
法律上共犯関係にない多数の事件との併合審理を拒否すること、及び国選弁護人の辞任申出を却下し弁護活動を継続させることは、特段の事情がない限り被告人の権利を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
1. 法律上の共犯関係にない他事件との併合審理を認めないことが、憲法31条、32条に違反するか。 2. 国選弁護人の辞任申出を認めずに審理を継続することが、憲法37条3項の弁護人依頼権を侵害するか。
規範
裁判所が複数の事件を併合して審理するか否かは、事件間の関連性(共犯関係の有無等)や審理の効率性を踏まえた裁判所の広範な裁量に委ねられる。また、国選弁護人の選任・解任・辞任の適否については、実質的な弁護活動が確保されている限り、裁判所の判断に帰せられる。
重要事実
被告人らは、自らの事件と「昭和44年10月11月闘争」と称される多数の別事件との併合審理(統一公判)を求めた。しかし、これらの事件と本件は法律上の共犯関係にはなかった。また、第一審において国選弁護人が辞任を申し出たが、裁判所はこれを認めず、当該弁護人による弁護活動が継続された。
あてはめ
1. 本件被告事件と併合を求められた多数の事件との間には、法律上の共犯関係が認められない。したがって、審理の便宜や迅速性を考慮して併合を認めなかった第一審の判断は正当であり、適正手続きに反しない。 2. 国選弁護人の辞任申出を認めなかった点について、記録上、その後の弁護活動が不十分であったとは認められない。実質的な弁護がなされている以上、被告人の弁護人依頼権を侵害したものとはいえない。
事件番号: 昭和50(あ)1887 / 裁判年月日: 昭和51年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律上共犯関係に立たない多数の事件との併合審理を求める被告人の統一公判要求を退けることは、被告人の裁判を受ける権利等を侵害せず正当である。 第1 事案の概要:被告人らは、自らの被告事件と「昭和44年10月11月闘争」と称される多数の別個の事件について、一括して審理を行う「統一公判」を要求した。しか…
結論
併合審理の拒絶および国選弁護人の辞任申出の却下はいずれも適法であり、憲法違反には当たらない。
実務上の射程
併合審理の必要性や弁護人の解任・辞任をめぐる争いにおいて、裁判所の訴訟指揮権の範囲を画するものとして活用できる。特に「実質的な弁護活動が確保されているか」という視点は、弁護権侵害の有無を論じる際の重要なメルクマールとなる。
事件番号: 昭和50(あ)1699 / 裁判年月日: 昭和51年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人との信頼関係の破綻を理由とする国選弁護人の辞任申出に対し、その責任が被告人側にもあること等の諸般の事情を考慮して辞任を認めないことは、憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:国選弁護人が、被告人らとの信頼関係が破綻したことを理由に裁判所に対して辞任の申出を行った。これに対し、第一審裁…
事件番号: 昭和50(あ)271 / 裁判年月日: 昭和50年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が国選弁護人の辞任申出を却下したとしても、弁護活動が不十分であったと認められない限り、憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の第一審公判において、国選弁護人が辞任の申出を行ったが、裁判所はこれを容れなかった。また、被告人側は本件と他事件との併合審理を要求したが、これも認められ…
事件番号: 昭和50(あ)1541 / 裁判年月日: 昭和51年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における弁論の併合・分離は受訴裁判所の合理的裁量に委ねられており、共同被告人のいわゆる分割審理も裁判所の合理的判断に基づく限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が共同被告人とされた事件において、第一審裁判所がいわゆる「分割審理」を行い、弁論を併合せず、あるいは一部を切り離して審理を進め…
事件番号: 昭和50(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和51年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における分割裁判(分離公判等)の実施は、受訴裁判所の合理的な裁量の範囲内に属し、その裁量を逸脱しない限り、憲法31条や37条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人側が、第一審において行われたいわゆる分割裁判の実施について、憲法37条(公平な裁判所の迅速な裁判)、31条(適正手続…