けん銃の不法所持につきさきに確定判決を受けたけん銃の不法所持の事実と包括一罪の関係にあるとして憲法三一条、三九条違反をいう上告趣意が欠前提とされた事例
憲法31条,憲法39条
判旨
被告人が以前に有罪判決を受けた拳銃所持の事実と、本件で起訴された拳銃所持の事実は、別個の拳銃に係るものである限り「同一の事実」とは認められず、一事不再理の効力は及ばない。
問題の所在(論点)
確定判決を経た拳銃所持の事実と、新たに起訴された別の拳銃の所持の事実は、憲法39条にいう「同一の事実」に該当し、一事不再理の効力により公訴棄却(免訴)とされるべきか。
規範
憲法39条が規定する一事不再理の原則が適用されるためには、後の公訴事実が前の確定判決に係る公訴事実と「同一の事実」であることを要する。ここでいう同一性とは、基本的事実関係が共通しているか否か、および社会通念上同一の犯罪と評価できるか否かによって判断される。
重要事実
被告人は以前、回転式改造拳銃1丁等の所持により松山地方裁判所で有罪判決を受けていた。その後、被告人は別の改造拳銃1丁の所持について起訴されたため、弁護人は、本件の所持は既に確定判決を経た事実と同一であり、憲法31条および39条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件で起訴された改造拳銃1丁の所持は、既に有罪判決が確定している回転式改造拳銃1丁等の所持とは別の個体に関する事実である。拳銃の所持罪においては、所持の対象となる物件が異なる以上、それらは別個の法益侵害を構成し、基本的事実関係を共通にするものとはいえない。したがって、本件の事実は前判決の事実と同一であるとは認められない。
事件番号: 昭和40(あ)2167 / 裁判年月日: 昭和41年4月7日 / 結論: 棄却
原判決およびその是認する第一審判決が、第一審判示第四の拳銃二丁の所持につき銃砲刀剣類等所持取締法違反の包括罪に、実砲の所持につき火薬類取締法違反の罪に問擬し、両者を一個の行為にして数個の罪名にふれるものであるとした判示は正当である。
結論
本件の拳銃所持は確定判決の事実と同一ではないため、一事不再理の原則に反せず、改めて有罪とすることは正当である。
実務上の射程
物件の所持罪において、対象物が別個であれば「同一の事実」とは認められないという判断基準を示している。答案上は、一事不再理(免訴)の論点において、公訴事実の同一性を否定する際の具体例として引用可能である。
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…
事件番号: 昭和42(あ)2479 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
累犯関係の有無は、前刑の執行を終りまたは執行の免除があつた日から五年の期間内に、犯罪の実行行為をしたか否かを基準にして決すべきものであつて、五年の期間内に、犯罪行為の着手があつたか否かのみを基準にして決すべきものではない。
事件番号: 昭和42(あ)130 / 裁判年月日: 昭和42年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類等所持取締法違反と火薬類取締法違反が観念的競合(刑法54条1項前段)の関係にある場合、その旨の適用を欠いても、結果として重い方の罪の刑で処断していれば、判決に影響を及ぼす違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人は、銃砲刀剣類等所持取締法違反および火薬類取締法違反の罪に問われた。第一審…
事件番号: 昭和44(あ)1769 / 裁判年月日: 昭和45年12月15日 / 結論: 棄却
構成要件にあたる数個の事実が、包括一罪であるか、それとも併合罪であるかの判断は、判決書に罪となるべき事実として判示された事実をもとにしてなすべきものであつて、それ以外の別の事実をもとにしてなすべきものではない(判文参照)。