いわゆる分割審理が正当であるとして違法の主張が欠前提とされた事例
憲法37条3項,憲法37条,憲法31条
判旨
弁論の分離及び併合は、受訴裁判所の広範な裁量に属する事項であり、審理の効率性や被告人の防御権等を考慮してなされた措置は、特段の事情がない限り適法である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法313条1項に基づく弁論の分離・併合に関する裁判所の決定が、どの程度の裁量権を有するのか、またそれが憲法に違反するような違法なものとなる基準が問題となる。
規範
弁論の分離及び併合(刑事訴訟法313条1項)は、受訴裁判所の裁量に属する。裁判所が審理の状況、被告人の防御への影響、裁判の迅速化等の諸般の事情を総合的に考慮して決定した措置は、その裁量権を逸脱又は濫用しない限り、正当なものとして是認される。
重要事実
被告人が関与した刑事事件において、第一審裁判所が複数の事件の併合審理を決定した。これに対し、被告人側は当該併合審理の措置が憲法37条(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)、31条(適正手続の保障)等に違反するものであると主張し、上告した。
あてはめ
本件における第一審裁判所の併合審理の決定について検討すると、弁論の分離・併合は本質的に受訴裁判所の裁量権に委ねられている。本件の記録に照らせば、裁判所がとった併合審理の措置は審理の便宜や適正を欠くものとは認められず、相当な範囲内で行われたと評価できる。したがって、被告人が主張するような憲法違反や権利侵害の事実は認められず、裁量権の行使は適法である。
事件番号: 昭和49(あ)1767 / 裁判年月日: 昭和50年7月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論の分離・併合は受訴裁判所の裁量に属する事項であり、第一審における併合審理の範囲や程度が相当であると認められる場合には、裁判所の判断に違法はない。 第1 事案の概要:被告人側は、第一審における併合審理の範囲や程度が不当であるとして、憲法31条(適正手続き)、37条(公平な裁判所の迅速な公開裁判)…
結論
弁論の分離併合は受訴裁判所の裁量に属するものであり、第一審裁判所がとった本件併合審理に関する措置は相当であって、憲法違反にはあたらない。
実務上の射程
共犯者の分離公判や、複数の余罪がある場合の併合審理において、裁判所の裁量権を肯定する根拠として用いる。被告人側から分離・併合を求める申立てがあっても、裁判所にはこれに応じる義務はなく、裁量権の濫用といえるほどの不合理な事情がない限り、裁判所の決定が覆ることはないという実務上の準則を示すものである。
事件番号: 昭和50(あ)1541 / 裁判年月日: 昭和51年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における弁論の併合・分離は受訴裁判所の合理的裁量に委ねられており、共同被告人のいわゆる分割審理も裁判所の合理的判断に基づく限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が共同被告人とされた事件において、第一審裁判所がいわゆる「分割審理」を行い、弁論を併合せず、あるいは一部を切り離して審理を進め…
事件番号: 昭和50(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和51年1月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における分割裁判(分離公判等)の実施は、受訴裁判所の合理的な裁量の範囲内に属し、その裁量を逸脱しない限り、憲法31条や37条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人側が、第一審において行われたいわゆる分割裁判の実施について、憲法37条(公平な裁判所の迅速な裁判)、31条(適正手続…
事件番号: 昭和49(あ)1716 / 裁判年月日: 昭和50年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】多数の被告人が関与する複雑な事件において、適正な裁判の実現のためにやむを得ないと認められ、かつ被告人の防御権に著しい支障を与えない限り、分割審理を行うことは適法である。 第1 事案の概要:被告人らが関与した事件(いわゆる三里塚事件関連)の第一審において、裁判所は審理の便宜のため、他の共犯者等と分離…
事件番号: 昭和48(あ)2866 / 裁判年月日: 昭和49年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における分割審理(併合罪の一部分離・先行審理)は、審理の便宜上やむを得ない事情があり、かつ被告人の防御権に著しい支障を与えない限り、憲法31条、37条等に違反せず適法である。 第1 事案の概要:被告人が関与したとされる事件につき、第一審裁判所がいわゆる「分割審理」の手法を用いた。これに対し…