即時抗告と題する申立を準抗告の趣旨に善解処理した原措置につき正当であると判示された事例
刑訴法429条
判旨
裁判官の忌避申立てを却下した裁判に対しては即時抗告が許されないため、当該申立てを準抗告の趣旨と解釈して処理すべきである。
問題の所在(論点)
裁判官の忌避申立てを却下した裁判に対し、適法な不服申立て方法がない場合に、誤ってなされた「即時抗告」の申立てをどのように取り扱うべきか。
規範
刑事訴訟法上、裁判官の忌避申立てを却下した決定(同法24条1項)に対しては、不服申立ての手段として即時抗告(同法422条)は許されない。もっとも、申立人の権利救済の観点から、形式上「即時抗告」と題された書面であっても、実質的に裁判官の裁判に対する不服申立てである以上、準抗告(同法429条1項2号)の趣旨として解釈し、受理すべきである。
重要事実
被告人側が裁判官の忌避申立てを行ったが、これが却下された。これに対し、被告人側は「即時抗告」と題する書面をもって不服を申し立てた。原審は、この即時抗告と題された申立てを、刑事訴訟法上の準抗告の趣旨であると解して判断を下した。
あてはめ
刑事訴訟法上、忌避却下決定に対する即時抗告を認める規定は存在しない。しかし、被告人の裁判を受ける権利を保障するためには、形式的な名称にとらわれず申立人の実質的な意図を汲み取るべきである。本件において、被告人側は裁判官の判断に異議を唱える意図で「即時抗告」を選択しており、これを準抗告の趣旨に解した原審の措置は、手続的な妥当性を欠くものではないと評価できる。
事件番号: 昭和31(し)51 / 裁判年月日: 昭和31年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単独制の地方裁判所裁判官が下した忌避申立却下裁判に対する不服申立ては、刑事訴訟法429条1項に基づき準抗告の方法によるべきであり、また、食糧管理法は国民の生活条件を安定させる趣旨から憲法に違反しない。 第1 事案の概要:申立人は、地方裁判所の一人の裁判官がなした忌避申立却下の裁判に対し、名古屋高等…
結論
忌避申立却下に対する即時抗告は許されないが、これを準抗告の趣旨と解して処理した原審の措置は正当である。
実務上の射程
刑事手続における不服申立ての「誤記」や「形式の誤り」を救済する際の一般原則として活用できる。特に、忌避申立てや証拠調べに関する決定など、即時抗告が認められないものの準抗告が可能な場面において、申立書の表題のみで却下せず、実質的な趣旨を検討して受理すべきという答案構成に資する。
事件番号: 昭和48(し)31 / 裁判年月日: 昭和48年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法上、裁判官の忌避申立却下決定に対する準抗告棄却決定については不服申立の規定が存在しないため、これに対する即時抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官忌避申立却下決定に対する準抗告を申し立てたが棄却された。これに対し、さらに即時抗告を申し立てたところ、原審が不適法として棄却…
事件番号: 昭和59(し)53 / 裁判年月日: 昭和59年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方裁判所の一人の裁判官が刑事訴訟法24条に基づき行った忌避申立却下の決定に対し、不服を申し立てる手段は、同法429条1項所定の準抗告によるべきであり、同法25条所定の即時抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:抗告人は、地方裁判所の一人の裁判官に対して裁判官忌避の申立てを行った。これに対し…
事件番号: 昭和31(し)10 / 裁判年月日: 昭和31年6月5日 / 結論: 棄却
地方裁判所の一人の裁判官が刑訴第二四条によりした忌避申立却下の裁判に対し地方裁判所に即時抗告の申立があつた場合には、同裁判所は刑訴第四二六条第一項前段により不適法として右抗告を棄却すべきものである。
事件番号: 昭和39(し)52 / 裁判年月日: 昭和39年9月29日 / 結論: 棄却
裁判官忌避申立却下の裁判は、当該裁判官が審理を継続している限りにおいては、これを取り消す実益があるけれども、審理を終結し、判決宣告を終つた後においては、右実益が失われるものと解するのが相当である。