証拠開示申立却下決定に対する特別抗告が判例の具体的指摘を欠くとして処理された事例(刑訴四二〇条の準用によらず)
刑訴法420条
判旨
最高裁判所への特別抗告において、判例違反を理由とする主張は、具体的な判例の指摘を欠く場合には実質的に単なる法令違反の主張とみなされ、適法な抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
具体的な判例の指摘を欠いたまま「判例違反」を主張する抗告が、刑事訴訟法433条に規定する適法な抗告理由を具備しているといえるか。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、判例違反を理由とする場合は、具体的にどの判例に違反するかを指摘しなければならない。具体的な指摘を欠く主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、同条の抗告理由には該当しない。
重要事実
抗告人は、原決定に対し、憲法違反および判例違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、その主張において、違反の対象となるべき具体的な判例の指摘を欠いていた。
あてはめ
抗告人は判例違反を主張の趣旨に含めているものの、具体的な判例の指摘を全く行っていない。このような主張は、判例との抵触を具体的に論じるものではなく、単に原決定の法令適用に誤りがあるとする「単なる法令違反」の主張と評価せざるを得ない。したがって、特別抗告の要件を満たす主張とは認められない。
事件番号: 昭和56(し)124 / 裁判年月日: 昭和56年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官の手持証拠に対する証拠開示命令を認めない決定は、判決前の訴訟手続に関する決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しないため、特別抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:検察官が手持証拠について開示命令を発しないよう求め、裁判所…
結論
本件抗告は、刑事訴訟法433条所定の抗告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法上の不服申立て、特に上告や特別抗告において、判例違反を主張する際の具体的摘示の必要性を示す。答案上は、理由不備や上告趣旨の適否を検討する際の形式的要件の根拠として利用できるが、判決文が極めて簡潔であるため、実体的な判断枠組みとして展開するよりは、却下・棄却事由の確認として用いるのが適切である。
事件番号: 昭和46(し)45 / 裁判年月日: 昭和46年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留理由開示の請求を却下した裁判官の裁判に対しては、刑事訴訟法429条1項2号により準抗告の申立てが可能である。 第1 事案の概要:本件において、請求人は裁判官による勾留理由開示請求の却下裁判に対し、最高裁判所へ特別抗告(刑訴法433条)を申し立てた。当該申立てが適法であるか、すなわち、同裁判が「…
事件番号: 昭和46(し)44 / 裁判年月日: 昭和46年6月14日 / 結論: 棄却
裁判官が勾留理由開示の請求を却下した裁判に不服がある者は、刑訴法四二九条一項二号により、その取消または変更を請求することができる。
事件番号: 昭和44(し)19 / 裁判年月日: 昭和44年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人等による公訴棄却の申立ては、裁判所の職権発動を促すものにすぎず、これに対する却下決定は刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:被告人側(あるいは抗告人)が、公訴棄却を求める申立てを行った。これに対し、裁判所が当該申立てを却下する旨の決定を下したため、申立人はこ…
事件番号: 昭和46(し)40 / 裁判年月日: 昭和46年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、判例違反を理由とする主張が判例の具体的な摘示を欠く場合、または単なる法令違反を主張するにすぎない場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は本件について特別抗告を申し立てたが、その趣旨において判例違反を主張しながら、具体的にどの判例に違反するかという適示を欠い…