沖縄の復帰前の前科を量刑の資料としたことが憲法三一条に違反するとの主張が欠前提とされた事例
憲法31条
判旨
沖縄の復帰前における前科について、その法的効力が復帰後も当然に維持されるものではないとしても、被告人の性格や経歴等の量刑情状を推知するための資料として考慮することは適法である。
問題の所在(論点)
刑法上の前科としての法的効力が認められない(あるいは不明確な)過去の処罰歴を、裁判所が量刑上の情状(性格・経歴等)として考慮することが許されるか。
規範
前科そのものの法的効力(刑法上の再犯加重の要件等)の有無にかかわらず、裁判所が刑の量定を行うにあたり、被告人の性格、経歴、犯罪の動機、態様その他の情状を把握するための資料として、過去の犯罪事実を考慮することは許容される。
重要事実
被告人は沖縄の日本復帰前に前科を有していた。原審は、この復帰前の前科を、被告人の性格や経歴といった量刑の情状を推知するための資料として考慮し、刑を言い渡した。これに対し弁護人は、復帰前の前科を考慮することは憲法31条に違反し、また判例に違反するとして上告した。
あてはめ
本件において原判決は、沖縄復帰前の前科が復帰後も当然に法的効力を有すると判断したわけではない。あくまで「被告人の性格、経歴その他の量刑の情状を推知するための資料」として用いたにすぎない。これは、適正な量刑を行うために必要な犯人の属性把握の一環であり、憲法が保障する適正手続に反するものとはいえない。
結論
復帰前の前科を量刑資料として考慮することは適法であり、憲法違反や判例違反には当たらない。
実務上の射程
量刑資料の範囲に関する一般論として活用できる。法的効力が消滅した前科や、外国での処罰歴等であっても、被告人の人証や情状として「性格・経歴」の枠組みで考慮できることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和45(あ)214 / 裁判年月日: 昭和45年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑の資料として前科を勘案することは、前科を一つの情状として考慮するものにすぎず、憲法39条の二重処罰禁止の原則に反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において有罪判決を受け、その量刑判断に際して、原判決が控訴趣意に対する判断の中で被告人の前科等の量刑資料を勘案すると判示した。これに対し、…