刑法一八六条二項の規定違憲(一三条及び一四条)の主張が、欠前提とされた事例
憲法13条,憲法14条
判旨
刑法186条2項の賭博開張図利罪は、風俗を害し公共の福祉に反する実質的違法性を有しており、憲法13条に違反しない。また、同罪は特定の者に対してのみ適用されるものではなく、全ての者を対象に無差別に処罰するものであるため、憲法14条にも違反しない。
問題の所在(論点)
刑法186条2項(賭博開張図利罪)の規定が、憲法13条および14条に違反し、違憲ではないか。
規範
刑法186条2項に規定される行為は、風俗を害し公共の福祉に反するものであり、実質的違法性が認められる。また、同規定は全ての国民を対象として無差別に処罰するものであるため、法の下の平等に反することはない。
重要事実
被告人が刑法186条2項(賭博開張図利)の罪に問われた事案において、弁護側が当該規定は憲法13条(幸福追求権・公共の福祉)および憲法14条(法の下の平等)に違反するものであると主張して上告した。
あてはめ
賭博開張図利行為は、個人の自由な活動の範囲内にあるものではなく、社会の健全な風俗を著しく害する性質を持つ。したがって、かかる行為を禁止し処罰することは、公共の福祉に適合する正当な制約である(憲法13条適合性)。また、同条文は特定の属性を持つ者に対して差別的に適用されるものではなく、当該行為を行った者であれば何人であっても無差別に処罰の対象となるものである(憲法14条適合性)。
結論
刑法186条2項は、憲法13条および14条に違反せず、合憲である。したがって、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
本判決は、賭博罪全般の合憲性を支えるリーディングケースである昭和25年大法廷判決の趣旨を、賭博開張図利罪について再確認したものである。答案上は、賭博の処罰根拠が「健全な勤労の習慣」や「社会の風俗」という公共の福祉にあることを論証する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)5657 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法186条2項に規定される賭場開張図利罪は、憲法13条が保障する個人の尊厳や幸福追求権に違反するものではなく、合憲である。 第1 事案の概要:被告人は、刑法186条2項(賭場開張図利罪)に問われたが、同規定は個人の幸福追求権を保障する憲法13条に違反し、違憲であると主張して上告した。判決文中に具…
事件番号: 昭和53(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和54年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条の賭博罪が、公認された公営競技等との対比において私人の賭博行為のみを処罰の対象とする点は、立法政策の問題に属し、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が私的に賭博行為を行ったとして刑法185条に基づき起訴された。これに対し、弁護側は、国や公共団体が行う公営競技(公営ギャンブ…
事件番号: 昭和45(あ)1706 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条および186条2項が賭博行為を処罰することは、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が賭博場開張図利および賭博の罪に問われた事案において、弁護人は、これらの罪を処罰する規定は憲法14条(平等原則)に違反し無効である旨を主張して上告した。 第2 問題の所在…