刑法一八六条二項の合憲性
刑法186条2項
判旨
賭博場開張等図利罪を規定する刑法186条2項は、憲法13条が保障する幸福追求権等に違反せず、合憲である。
問題の所在(論点)
刑法186条2項(賭博場開張等図利罪)の規定が、憲法13条が保障する個人の尊厳や幸福追求権に違反し、違憲といえるか。
規範
刑法186条2項の規定は、公共の福祉の観点から個人の勝手な行動を制限するものであり、国民の権利や自由を不当に侵害するものではなく、憲法13条に違反しない。
重要事実
上告人は、賭博場開張等図利の罪(刑法186条2項)に問われ、有罪判決を受けた。これに対し、同条項が憲法13条に違反し違憲であると主張して上告したものである。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大法廷判決(昭和25年11月22日判決)を引用し、賭博行為の禁止およびその幇助・処罰は公共の福祉に基づく正当な制限であると解した。個人の自由といえども公共の福祉に反する場合は制限され得るところ、賭博行為を誘発・助長する賭博場の開張行為を処罰することは憲法が許容する範囲内であるといえる。
結論
刑法186条2項は憲法13条に違反せず、上告は棄却される。
実務上の射程
憲法13条の「幸福追求権」と刑事罰の合憲性が争われる際の先例として活用できる。特に「賭博」という個人の嗜好に関する行為であっても、社会的弊害が大きい場合には国家による処罰(公共の福祉による制限)が正当化されることを示す論拠となる。
事件番号: 昭和25(れ)280 / 裁判年月日: 昭和25年11月22日 / 結論: 棄却
一 刑法第一八六条第二項賭場開張図利罪の規定は、憲法第一三条に違反しない。 二 賭博及び富籤に関する行為が風俗を害し、公共の福祉に反するものと認むべきことは前に説明したとおりであるから、所論は全く本末を顛倒した議論といわなければならない。すなわち、政府乃至都道府縣が自ら賭場開張図利乃至富籤罪と同一の行為を為すこと自体が…
事件番号: 昭和45(あ)1706 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条および186条2項が賭博行為を処罰することは、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が賭博場開張図利および賭博の罪に問われた事案において、弁護人は、これらの罪を処罰する規定は憲法14条(平等原則)に違反し無効である旨を主張して上告した。 第2 問題の所在…
事件番号: 昭和53(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和54年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条の賭博罪が、公認された公営競技等との対比において私人の賭博行為のみを処罰の対象とする点は、立法政策の問題に属し、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が私的に賭博行為を行ったとして刑法185条に基づき起訴された。これに対し、弁護側は、国や公共団体が行う公営競技(公営ギャンブ…