ココム規制の違憲(二二条一項)主張が判決に影響のない事項に関する主張とされた事例
輸出貿易管理令1条1項1号
判旨
輸出貿易管理令に基づく輸出承認制度による制限は、公共の福祉のために必要な合理的制限として憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
輸出貿易管理令1条1項1号に基づく輸出承認制度が、憲法22条1項が保障する職業の自由(営業の自由)を侵害し違憲ではないか。
規範
経済的自由権を制限する規制の合憲性は、当該規制が「公共の福祉」に基づき、その目的が正当であり、かつ、その目的を達成するための手段が合理的であるか否かによって判断される。特に輸出入等の対外取引の制限については、国際収支の均衡や国民経済の健全な発展、さらには国際平和の維持といった公益上の観点から、広範な立法裁量が認められる。
重要事実
被告人らは、通商産業大臣(当時)の承認を受けることなく、輸出貿易管理令1条1項1号に指定された貨物を輸出した。この行為が、外国為替及び外国貿易管理法(当時)違反(無承認輸出)として罪に問われた。これに対し、被告人側は当該規制がココム(COCOM)リストに基づくものであり、営業の自由を保障する憲法22条1項に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件における無承認輸出の対象となった貨物は、輸出貿易管理令1条1項1号の規定により、特定の公益上の理由から輸出承認を要するものとされていた。被告人側の主張する「ココム・リストによる規制」は本件の有罪判断に直接影響するものではなく、同令に基づく規制そのものは、国民経済の健全な発展や国際的な協力関係の維持という正当な目的に基づくものである。また、承認制という手段も、これら目的を達成するために必要かつ合理的な範囲に留まるものであるといえる。
事件番号: 昭和45(あ)1296 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国為替及び外国貿易管理法による支払等の制限およびこれに違反した者への刑罰規定は、公共の福祉のために必要な制限として、憲法22条1項および29条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、当時の外国為替及び外国貿易管理法(外為法)27条1項3号が禁ずる無許可の支払等を行い、同法70条7号に基づ…
結論
本件の輸出承認制度による制限は、憲法22条1項に違反しない。したがって、無承認で貨物を輸出した行為に有罪を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
経済的自由(特に職業の自由)への制限に関する合憲性判定枠組みを示す。いわゆる「目的二分論」以前の判例であるが、対外経済取引の規制については、国際情勢等の複雑な判断を要するため、立法・行政側の裁量を広く認める傾向があることを示す事案として位置づけられる。
事件番号: 昭和37(あ)624 / 裁判年月日: 昭和40年1月20日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第三号は憲法第二九条に違反しない。
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…
事件番号: 昭和38(あ)1801 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
一 外国為替及び外国貿易管理法第七三条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である…
事件番号: 昭和39(あ)1295 / 裁判年月日: 昭和40年11月26日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは、牽連犯ではない。