外国人であるため差別的科刑をしたと認められる資料はないから、憲法一四条違反の主張が前提を欠くとされた事例
憲法14条
判旨
科刑において国籍を理由とする差別があった事実は認められず、実質的な量刑不当の主張は適法な上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
原判決の科刑が、被告人の国籍を理由とした差別的なものであるとして、憲法14条の法の下の平等に違反するか。
規範
憲法14条に基づく法の下の平等に反する差別的科刑が認められるためには、客観的な資料に基づき、国籍等の属性を理由とした不合理な不利益取扱いが認定されなければならない。また、単なる量刑不当の主張は刑訴法405条の上告理由には当たらない。
重要事実
韓国籍を有する被告人に対し、原判決が刑を科した事案において、被告人側が「韓国籍を有する外国人であることを理由に差別的な科刑がなされた」として、憲法14条違反および憲法36条違反、ならびに量刑不当を理由に上告を申し立てた。
あてはめ
記録を精査しても、原判決が被告人の国籍を理由として差別的な科刑を行ったと認めるに足りる資料は存在しない。したがって、違憲主張はその前提を欠くものである。また、弁護人の主張するその他の事由も、その実質は単なる量刑不当の主張に帰するものであると解される。
結論
本件科刑に国籍による差別は認められず、憲法14条違反の主張は採用できない。また、量刑不当は適法な上告理由とならないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事手続における憲法14条違反の主張に対し、裁判所が「記録上の資料の有無」という証拠面からの判断枠組みを示した事例として活用できる。答案上は、量刑の妥当性に関する憲法問題の限界を示す際に参照される。
事件番号: 昭和46(あ)617 / 裁判年月日: 昭和46年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が過去において暴力団に属していた事実を量刑の資料とすることは、直ちに被告人に対し不利益な差別的処遇をするものではなく、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事裁判において有罪判決を受けた際、過去に暴力団に所属していた事実を量刑上の不利益な事情として考慮された。これに対し弁護人…
事件番号: 昭和26(れ)1527 / 裁判年月日: 昭和26年11月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所の管轄が法令に基づき適切に指定されている場合、および起訴された公訴事実の範囲内に特定の所持行為が包含されていることが明白である場合、管轄違いや訴因外の認定といった訴訟法違反の主張は認められない。 第1 事案の概要:被告人が日本刀を所持していた等の事実について、仙台地方裁判所が本件の管轄裁判所…
事件番号: 昭和56(あ)1044 / 裁判年月日: 昭和57年4月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法14条、28条、31条違反の主張が、実質的に事実誤認や単なる法令違反をいうものである場合、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人らの弁護人が、憲法14条(法の下の平等)、28条(労働基本権)、31条(適正手続の保障)違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、…
事件番号: 昭和52(あ)588 / 裁判年月日: 昭和52年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人が主張する事実誤認、量刑不当、単なる法令違反は、いずれも刑訴法上の適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認および量刑不当を主張して上告を申し立て、また弁護人が、事実誤認および単なる法令違反を主張して上告趣意書等を提出した事案。 第2 問題の所在(論点)…