いわゆる光文社事件
判旨
憲法14条、28条、31条違反の主張が、実質的に事実誤認や単なる法令違反をいうものである場合、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を名目とする上告について、その実質が事実誤認や単なる法令違反である場合、刑訴法405条の上告理由として適法か。
規範
最高裁判所への上告が認められるためには、刑訴法405条各号に掲げる事由(憲法違反、憲法解釈の誤り、判例違反)が必要である。憲法違反を形式的に主張していても、その実質が事実誤認や単なる法令違反の主張に留まる場合は、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人らの弁護人が、憲法14条(法の下の平等)、28条(労働基本権)、31条(適正手続の保障)違反を理由として上告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、下級審の認定した事実の誤りや、通常の法律適用に関する不服に主眼が置かれていた。
あてはめ
本件の上告趣意は、形式上は憲法14条、28条、31条違反を掲げている。しかし、その具体的な論理展開を精査すると、判示事項の前提となる事実認定の不当性や、個別事案における法律運用の誤りを指摘するに過ぎない。これは実質において、事実誤認または単なる法令違反の主張といわざるを得ず、同条が予定する憲法問題の提起には該当しない。
結論
本件各上告は、刑訴法405条の上告理由にあたらないため、棄却される。
事件番号: 昭和46(あ)335 / 裁判年月日: 昭和50年2月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法28条違反をいう上告趣意について、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎない場合は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:弁護人は、被告人(氏名・属性は判決文からは不明)の行為に関し、憲法28条(労働基本権)違反を理由として上告を申し立てた。しかし、当該主張の内…
実務上の射程
憲法違反を主張して上告する場合でも、具体的な憲法判断を導くための論理が必要であり、単なる事実認定や一般法の解釈への不服を憲法の文言で粉飾しただけでは不適法となることを示している。実務上、上告趣意書の作成において上告理由を厳格に峻別すべき根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)1550 / 裁判年月日: 昭和27年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審で主張されず、原審が判断していない事項(憲法13条違反、31条違反等)を上告理由とすることは適法ではない。また、量刑不当や事実誤認の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、原判決が示した事実の判断が憲法31条に違反し、また刑罰が過酷であると…
事件番号: 昭和44(あ)2262 / 裁判年月日: 昭和47年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による上告理由のうち、憲法28条違反の主張は実質的な事実誤認または単なる法令違反にすぎず、判例違反の主張も事案を異にするため、刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:検察官が、被告人らによる行為の正当性に関する判断に憲法28条(労働基本権)違反および判例違反があるとして上告…
事件番号: 昭和25(あ)2493 / 裁判年月日: 昭和26年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、被告人の上告趣意が実質的に刑訴法411条の職権破棄事由を主張するにすぎず、適法な上告理由に当たらないとして上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人両名は、憲法違反を主張して上告を提起したが、その具体的な内容は、実質的には原判決に重大な事実誤認や法令違反があるといった刑訴法41…
事件番号: 昭和47(あ)2281 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由を構成せず、職権調査によっても原判決を破棄すべき事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法14条(法の下の平等)および32条(裁判を受ける権利)違反、ならびに量刑不当を理由として上告を申し立てた事案で…