一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例第三二号による改正前のもの)二条一項、一六条一号は憲法二一条、四条三項、三一条、九四条、四一条に違反しない。 二 被告人に対する本件公訴事実のうち、被告人が大阪市条例によりはり紙の表示が禁止された物件である電柱にビラ五枚を表示した点については、原判決後の法令により刑の廃止があった場合にあたるが、右事実は法定の除外事由がないのに大阪市長の許可を受けないではり紙を表示した事実と観念的競合の関係にあるものとして起訴されており、かつ、これら両罪の法定刑は同一であること、被告人に対する原判決の科刑(罰金二、〇〇〇円、換刑一、〇〇〇円一日、一年間執行猶予)は、法定の除外事由がないのに大阪市長の許可を受けないではり紙を表示した罪だけに対する科刑としても不当に重いとは認められないことを考慮すると、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。
一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例三二号による改正前のもの)二条一項、四条三項、一六条一号と憲法二一条、三一条、九四条、四一条との関係 二、観念的競合の関係にある二つの罪のうち一つについて刑の廃止があるが原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないとされた事例
大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)2条1項,大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)4条3項,大阪市屋外広告物条令(昭和49年4月1日大阪市条例32号による改正前のもの)16条1項,憲法21条,憲法31条,憲法41条,憲法94条,刑訴法337条2号,刑訴法411条5号,刑法54条1項前段
判旨
屋外広告物条例により禁止された電柱へのビラ貼付行為につき、事後の条例改正で当該禁止規定が削除された場合でも、他の存続する処罰規定と観念的競合の関係にあり、原判決の量刑が不当でなければ、刑の廃止による破棄自判は不要である。
問題の所在(論点)
条例改正により一部の禁止規定が削除され「刑の廃止」が生じた場合、上告裁判所は刑訴法411条5号に基づき、常に原判決を破棄しなければならないか。特に、廃止された罪が他の罪と観念的競合の関係にある場合の処理が問題となる。
規範
上告審において、原判決後の法令により刑の廃止があった場合(刑訴法411条5号)であっても、直ちに原判決を破棄すべきものではない。他の罪との観念的競合(刑法54条1項前段)の関係にあり、存続する罪のみに対する科刑としても不当に重くない等、破棄しなければ著しく正義に反すると認められない場合には、原判決を維持できる。
事件番号: 昭和41(あ)536 / 裁判年月日: 昭和43年12月18日 / 結論: 棄却
昭和三一年大阪市条例第三九号大阪市屋外広告物条例第一三条第一号、第四条第二項第一号、第三項第一号は、憲法第二一条に違反しない。
重要事実
被告人は、大阪市長の許可を受けず、同市条例によりはり紙の表示が禁止された電柱5本にビラを貼付した。第一審判決は、①許可を受けない表示(条例2条1項違反)と②禁止物件(電柱)への表示(条例4条3項違反)の観念的競合として罰金2,000円(執行猶予)を宣告。その後、条例改正により②の禁止物件から「電柱」が削除され、経過措置も撤廃されたため、②については刑の廃止があった状態となった。
あてはめ
本件では、電柱への貼付という同一行為が、許可欠如(罪①)と禁止物件(罪②)の双方に該当する。条例改正により罪②は廃止されたが、罪①は依然として存続している。両罪の法定刑は同一であり、原判決の科刑(罰金2,000円、執行猶予)は、存続する罪①のみに対する処罰としても不当に重いとは認められない。したがって、罪②について刑の廃止があったとしても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは言えない。
結論
本件上告を棄却する。原判決後の法令により刑の廃止があった場合にあたるが、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとは認められないため、維持が認められる。
実務上の射程
刑の廃止と判決後の法令変更の処理に関する実務上の指針。特に、一粒の行為が複数の罪に触れる場合の「破棄の必要性」の判断基準を示す。憲法21条(表現の自由)との関係については、先行する大法廷判決の趣旨を引用し、公共の福祉による合理的制限として合憲性を肯定している点も重要である。
事件番号: 平成1(あ)511 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号及び大阪市屋外広告物条例の規定は、憲法21条および31条に違反せず、表現の自由の不当な制限には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、軽犯罪法1条33号前段(他人の工作物にみだりに広告物等をはりつけた罪)および大阪市屋外広告物条例(許可を受けずに広告物を掲出する等の罪)に違反す…
事件番号: 昭和47(あ)1564 / 裁判年月日: 昭和48年12月20日 / 結論: 棄却
大阪府屋外広告物法施行条例二条三項一号が憲法二一条および一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和四一年(あ)第五三六号同四三年一二月一八日大法廷判決・刑集二二巻一三号一五四九頁の趣旨に徴して明らかである。
事件番号: 平成1(あ)710 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
被告人の行為が大赦令(平成元年政令第二七号)により赦免の対象とされる罪に当たり、包括一罪を構成する場合に、その一部の行為が同時に赦免されない他の罪名に触れるため同政令二条により赦免されないときは、その余の行為についても赦免されない。
事件番号: 昭和59(あ)1090 / 裁判年月日: 昭和62年3月3日 / 結論: 棄却
大分県屋外広告物条例で広告物の表示を禁止されている街路樹二本の各支柱に、政党の演説会開催の告知宣伝を内容とするいわゆるプラカード式ポスター各一枚を針金でくくりつけた所為につき、同条例三三条一号、四条一項三号の各規定を適用してこれを処罰しても憲法二一条一項に違反しない。