大阪府屋外広告物法施行条例二条三項一号が憲法二一条および一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和四一年(あ)第五三六号同四三年一二月一八日大法廷判決・刑集二二巻一三号一五四九頁の趣旨に徴して明らかである。
大阪府屋外広告物法施行条例二条三項一号と憲法二一条、一四条
大阪府屋外広告物法施行条例2条3項1号,憲法14条,憲法21条
判旨
屋外広告物法に基づき、都道府県の条例で電柱へのはり紙を禁止することは、都市の美観風致を維持し公衆に対する危害を防止するという公共の福祉のため、表現の自由に対する必要かつ合理的な制限であり、憲法21条および14条に違反しない。
問題の所在(論点)
屋外広告物法に基づき電柱へのはり紙を禁止する条例の規定が、表現の自由(21条)を侵害し、または平等原則(14条)に反して違憲とならないか。
規範
表現の自由(憲法21条1項)は絶対無制限ではなく、公共の福祉による合理的制限に服する。屋外広告物条例による制限が、都市の美観風致の維持や公衆に対する危害防止という正当な目的のために必要かつ合理的な範囲内であれば、表現の自由の制限として合憲である。
重要事実
被告人らは、大阪府屋外広告物法施行条例により禁止されている電柱へのはり紙等の行為を行った。これに対し被告人らは、同条例が表現の自由を保障する憲法21条や法の下の平等を定める14条に違反し、無効であると主張して争った。
事件番号: 昭和41(あ)536 / 裁判年月日: 昭和43年12月18日 / 結論: 棄却
昭和三一年大阪市条例第三九号大阪市屋外広告物条例第一三条第一号、第四条第二項第一号、第三項第一号は、憲法第二一条に違反しない。
あてはめ
判旨は昭和43年12月18日大法廷判決の趣旨を援用する。屋外広告物条例は、無秩序な広告物による美観の損壊や倒壊による危険を防止することを目的とする。電柱への広告物掲示という表現形態の制限は、公共の場所の利用に関する合理的規律であり、表現内容そのものを規制するものではない。したがって、都市環境の維持という重要な公共の利益のために必要最小限度の制限を加えるものであり、合憲といえる。差別的な運用も認められないため14条にも反しない。
結論
大阪府屋外広告物法施行条例2条3項1号は、憲法21条および14条に違反しない。
実務上の射程
本判決は屋外広告物条例の合憲性を端的に認めたものである。司法試験の答案上では、表現の場所や手段に対する時間・場所・方法の規制(TPM規制)の典型例として扱う。特に電柱等の公的・準公的設備を利用した表現活動に対し、都市美観という抽象的な公益に基づく制限を肯定する際の重要な根拠となる。
事件番号: 平成1(あ)511 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号及び大阪市屋外広告物条例の規定は、憲法21条および31条に違反せず、表現の自由の不当な制限には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、軽犯罪法1条33号前段(他人の工作物にみだりに広告物等をはりつけた罪)および大阪市屋外広告物条例(許可を受けずに広告物を掲出する等の罪)に違反す…
事件番号: 平成4(あ)526 / 裁判年月日: 平成7年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】屋外広告物条例により電柱等への広告物表示を禁止・制限することは、都市の美観風致を維持し公衆に対する危害を防止するという公共の福祉のため、表現の自由を必要かつ合理的範囲内で制限するものであり、憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、滋賀県屋外広告物条例により広告物の表示が禁止または制限…
事件番号: 昭和62(あ)1273 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号前段にいう「みだりに」とは、他人の工作物にはり札をするにつき、社会通念上正当な理由があると認められない場合を指し、憲法31条の適正手続に違反しない。また、屋外広告物条例及び同法に基づきはり札行為を処罰することは、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告…
事件番号: 昭和49(あ)1377 / 裁判年月日: 昭和50年5月29日 / 結論: 棄却
一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例第三二号による改正前のもの)二条一項、一六条一号は憲法二一条、四条三項、三一条、九四条、四一条に違反しない。 二 被告人に対する本件公訴事実のうち、被告人が大阪市条例によりはり紙の表示が禁止された物件である電柱にビラ五枚を表示した点については、原判決後の法令により刑…